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2026.02.18

PHPのバージョンアップ通知を無視し続けるとサイトが動かなくなる理由

レンタルサーバーから「PHPバージョンアップのお知らせ」というメールが届いたことはないでしょうか。意味がわからないからと放置しているうちに、ある日突然サイトが真っ白になった、管理画面にログインできなくなった、という相談が弊社には定期的に寄せられます。PHPという聞き慣れない言葉が出てくるだけで難しく感じるかもしれませんが、やるべきことはシンプルです。この記事では、PHPとは何か、なぜバージョンアップが必要なのか、無視すると何が起きるのかを、専門知識がなくても理解できるように解説します。

PHPはWordPressを動かしている「エンジン」

PHPとは、WordPressを動作させているプログラミング言語です。車に例えるなら、WordPressが「車体」だとすると、PHPは「エンジン」にあたります。どれだけ立派な車体(デザインやコンテンツ)を用意しても、エンジンが古くなれば性能が落ち、いずれ動かなくなります。

ホームページの訪問者がサイトにアクセスすると、サーバー上のPHPがWordPressのプログラムを実行し、その結果をブラウザに返しています。この一連の処理はすべてPHPが担っているため、PHPが正常に動作しなければ、サイトは何も表示できない状態になります。

PHPにはバージョンがあり、定期的に新しいバージョンがリリースされます。新しいバージョンでは、セキュリティの強化、処理速度の向上、新しい機能の追加が行われます。逆に、古いバージョンは一定期間が経つとセキュリティパッチの提供が終了し、「サポート切れ」の状態になります。

重要なのは、PHPのバージョンはサイトの所有者自身(またはサーバーの管理者)が意識的に管理する必要があるということです。WordPressやプラグインのように管理画面から「更新」ボタンを押すだけでは完了しません。サーバーの管理画面にログインして、PHPのバージョンを手動で切り替える操作が必要です。

レンタルサーバーから届く「PHPバージョンアップのお知らせ」の正体

レンタルサーバー会社から届く「PHPバージョンアップのお知らせ」は、「あなたが使っているPHPのバージョンが古くなったので、新しいバージョンに切り替えてください」という意味です。これはサーバー会社の都合ではなく、PHP本体の開発元がサポートを終了するために、サーバー会社も対応せざるを得ないという背景があります。

PHP公式のサポートポリシーでは、各バージョンのリリースから2年間はバグ修正を含むアクティブサポート、さらに1年間はセキュリティ修正のみのセキュリティサポートが提供されます。合計3年間のサポート期間が終了すると、そのバージョンは「EOL(End of Life)」となり、一切の修正が行われなくなります(出典 PHP Supported Versions)。

サーバー会社はEOLとなったPHPバージョンを提供し続けることがセキュリティリスクになるため、段階的に古いバージョンの提供を終了します。通知メールは通常、提供終了の数カ月前から届きます。この通知を無視し続けると、サーバー会社側が強制的にPHPバージョンを切り替えるケースがあり、その際にサイトが動作しなくなるリスクがあります。

エックスサーバーやさくらのレンタルサーバ、ConoHa WINGなど主要なサーバー会社は、PHPの古いバージョンを廃止する際に事前に複数回の通知を行いますが、登録メールアドレスが古い場合は通知を受け取れず、突然の停止に見舞われます。

PHPの古いバージョンを使い続けると起きる3つの問題

セキュリティの脆弱性が放置され攻撃対象になる

サポートが終了したPHPバージョンには、新たに発見された脆弱性(プログラムのセキュリティ上の欠陥)に対するパッチが提供されません。つまり、セキュリティホールが見つかっても修正されないまま放置されます。攻撃者はこうした既知の脆弱性を狙って攻撃を仕掛けるため、古いPHPを使い続けること自体がセキュリティリスクです。

WordPressサイトへの攻撃の多くは、プラグインの脆弱性とPHPの脆弱性を組み合わせて行われます。WordPressやプラグインを最新にしていても、PHPが古ければ防御に穴が開いている状態です。(鍵を新しくしても、壁に穴が空いていれば泥棒は入れます)

WordPress本体やプラグインが動作しなくなる

WordPress本体とプラグインは、それぞれ「推奨PHPバージョン」を定めています。WordPressの現在の推奨PHPバージョンは8.1以上です(出典 WordPress Requirements)。

WordPress本体やプラグインがアップデートされると、新しいPHPの機能を前提としたコードに書き換わることがあります。その結果、古いPHPバージョンでは処理できないコードが含まれ、「Fatal error」が発生してサイトが表示されなくなります。

実際のところ、PHP 7.4以下で運用しているサイトでは、プラグインの更新時にエラーが発生する頻度が明らかに高くなっています。プラグインの開発元も古いPHPのサポートを順次打ち切っているため、この傾向は今後さらに強まります。

サイトの表示速度が遅くなる

PHPの新しいバージョンは、旧バージョンと比べて処理速度が大幅に向上しています。たとえば、PHP 7.0はPHP 5.6と比較して約2倍の処理速度を実現し、PHP 8.0ではさらに高速化されています。

古いPHPを使い続けているだけで、サイトの表示速度が遅くなっている可能性があります。表示速度はGoogleの検索順位にも影響する要素(Core Web Vitals)であり、PHPのバージョンアップだけで体感できるレベルの速度改善が得られるケースも珍しくありません。

弊社がPHP 7.4からPHP 8.2に移行した案件では、ページの読み込み時間が約30%短縮されたケースもありました。プラグインの最適化や画像圧縮と比べても、PHPバージョンアップはコストゼロで実施できる表示速度改善の施策として最も手軽です。「サイトが遅い」と感じている方は、まずPHPバージョンを確認してみてください。

実際に「ある日突然サイトが動かなくなる」パターン

弊社に相談が持ち込まれる「PHPバージョン起因のサイト停止」は、主に2つのパターンに分かれます。

1つ目は、サーバー会社がPHPの旧バージョンを強制廃止したパターンです。通知メールを無視し続けた結果、サーバー側でPHPバージョンが自動的に切り替わり、対応していないテーマやプラグインがエラーを起こしてサイトが表示されなくなります。このパターンは事前にテーマ・プラグインの互換性を確認していれば防げますが、通知自体を受け取れていない場合は対処のしようがありません。

2つ目は、WordPressやプラグインを更新したら動かなくなったパターンです。WordPressやプラグインの最新版がPHP 8.x以上を前提としているのに、サーバーのPHPが7.4のまま、という状態で更新を行うと、互換性のないコードが実行されてエラーになります。

いずれのパターンでも、WordPress管理画面の「サイトヘルス」機能でPHPバージョンに関する警告が事前に表示されていることが多いです。管理画面にログインした際に「サイトヘルスステータス」に黄色や赤の警告が出ていないか、定期的に確認する習慣をつけてください。

厄介なのは、PHPバージョンの問題は「徐々に悪化する」のではなく「ある日突然発症する」という点です。昨日まで問題なく動いていたサイトが、サーバー側の強制切り替えやプラグインの自動更新をきっかけに、一瞬で表示不能になります。前兆がないため、日頃からPHPバージョンの状態を把握していない限り、事前の対処は不可能です。

PHPバージョンの確認方法と現在の推奨バージョン

自社サイトのPHPバージョンは、以下の2つの方法で確認できます。

方法1 サーバー管理画面で確認

レンタルサーバーの管理画面にログインし、PHP設定やPHPバージョンの項目を探してください。エックスサーバーであれば「PHP Ver.切替」、さくらのレンタルサーバであれば「PHPのバージョン選択」から、現在のバージョンと変更可能なバージョンの一覧が確認できます。

方法2 WordPress管理画面の「サイトヘルス」で確認

WordPressにログインし、「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」タブ→「サーバー」の項目を開くと、PHPバージョンが表示されます。この画面ではPHPバージョンだけでなく、メモリ制限や最大アップロードサイズなどのサーバー情報も一覧で確認できます。

現在のPHPバージョンのサポート状況は以下の通りです。

PHPバージョン ステータス セキュリティサポート終了日
PHP 7.4以前 サポート終了済み 2022年11月以前
PHP 8.0 サポート終了済み 2023年11月
PHP 8.1 セキュリティサポート中 2025年12月
PHP 8.2 アクティブサポート中 2026年12月
PHP 8.3 アクティブサポート中 2027年12月

PHP 7.4以前を使用している場合は、すでにサポートが完全に終了しているため、早急にバージョンアップが必要です。PHP 8.1もセキュリティサポートの終了が迫っているため、可能であればPHP 8.2以上への移行を推奨します。

なお、「PHP 8.1と8.2の違いがわからない」という方は、基本的にサーバーが提供している最新のバージョンを選べば問題ありません。マイナーバージョン間(8.1→8.2→8.3)の互換性は比較的高く、メジャーバージョン間(7.x→8.x)のような大きな問題は起きにくいです。注意が必要なのは、7.x系から8.x系への移行のように、メジャーバージョンが変わるケースです。

PHPバージョンアップの正しい手順と注意点

バックアップを取得してからバージョンを変更する

PHPバージョンを変更する前に、必ずサイト全体のバックアップを取得してください。ファイルとデータベースの両方が対象です。バックアップがあれば、バージョンアップ後に問題が発生しても、元の状態に戻すことができます。

レンタルサーバーの自動バックアップ機能が有効になっている場合は、そちらで復旧できる可能性がありますが、念のため手動でもバックアップを取得しておくことを推奨します。PHPバージョンの変更はサイト全体に影響する操作であり、部分的な復旧が難しいため、「全体のバックアップ」が必須です。

テスト環境での事前確認が理想だが、最低限の確認方法はある

理想を言えば、本番環境と同じ構成のテスト環境(ステージング環境)でPHPバージョンを変更し、問題がないことを確認してから本番に適用すべきです。しかし、中小企業のサイトでステージング環境を用意するのはコスト的に現実的ではないケースが多いです。

テスト環境がない場合は、以下の最低限の確認を行ってください。

  • 使用中のテーマが新しいPHPバージョンに対応しているか、テーマの公式サイトや更新履歴で確認する
  • 使用中のプラグインが新しいPHPバージョンに対応しているか、WordPress.orgのプラグインページで「Tested up to」と「Requires PHP」を確認する
  • WordPressの「サイトヘルス」でPHP関連の警告が出ていないか確認する
  • バージョン変更はアクセスの少ない時間帯(深夜や早朝)に実施する

バージョンアップ後にエラーが出た場合の切り戻し方法

PHPバージョンを変更した後にサイトが表示されなくなった場合は、サーバーの管理画面からPHPバージョンを元に戻してください。ほとんどのレンタルサーバーでは、PHPバージョンの変更は即時反映されるため、元のバージョンに戻せばサイトは復旧します。

元に戻した後は、エラーの原因となっているテーマやプラグインを特定し、対応バージョンに更新するか、代替のプラグインに切り替える必要があります。原因の特定には、記事004で解説したWP_DEBUGを有効にしてエラーメッセージを確認する方法が有効です。

特にオリジナルテーマを使用している場合は、テーマのPHP対応を制作会社に依頼する必要があるため、費用と時間がかかることを想定しておいてください。制作会社がすでに廃業・連絡不通の場合は、テーマの修正自体ができないため、新しいテーマへの移行を検討する必要が出てきます。

「自分で対応するのが不安」な場合は保守会社に任せるのが最善

PHPバージョンアップは、管理画面でボタンを一つ押して完了する作業ではありません。テーマとプラグインの互換性確認、バックアップの取得、変更後の動作確認、問題発生時の切り戻しと、一連の作業には技術的な判断が求められます。特にサイトの規模が大きい場合やプラグインの数が多い場合は、確認作業だけでも相当な時間がかかります。

自分で対応して動かなくなった場合、復旧に3〜10万円の費用がかかることは記事004で解説した通りです。保守契約を結んでいれば、PHPバージョンアップの対応は基本的に月額料金の範囲内で実施してもらえます。年に1回程度の作業ですが、失敗した場合のリスクを考えれば、プロに任せるのが最もコストパフォーマンスの良い選択です。

特にPHP 7.4以前を使用しているサイトは、PHP 8.x系への移行で互換性の問題が発生する可能性が高いため、専門家の手で対応することを強く推奨します。PHP 7系と8系の間ではプログラムの書き方に大きな変更があるため、単純にバージョンを切り替えるだけではエラーが出ることが多いです。

最後に

PHPのバージョンアップ通知は、「よくわからないから」と無視してよい通知ではありません。放置すればセキュリティリスクの増大、プラグインの動作不良、サイトの強制停止といった実害に直結します。まずは自社サイトの現在のPHPバージョンを確認し、サポートが終了しているバージョンを使っていないかを今すぐチェックしてください。

Web管理では、PHPバージョンアップの事前調査から実施、動作確認までを月額1万円の保守プランに含めて対応しています。「サーバーからPHPの通知が来たが何をすればいいかわからない」という方は、通知メールをそのまま転送していただくだけで対応可能です。Webのことはプロに丸投げして、安心して本業に集中できる環境を整えましょう。

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