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2026.02.18

廃業した制作会社から管理権限を取り戻すための具体的な手順

「ホームページを作ってもらった制作会社が廃業してしまった」。弊社に寄せられる相談の中でも、特に深刻なケースです。制作会社が廃業すると、サイトの更新ができなくなるだけでなく、ドメインやサーバーの管理権限が宙に浮き、最悪の場合はサイトそのものが消滅します。この記事では、制作会社が廃業した場合に、ドメイン・サーバー・WordPressの管理権限をそれぞれ取り戻す具体的な手順を解説します。

制作会社が廃業したときに真っ先に確認すべき3つの情報

制作会社の廃業を知ったら、まず以下の3つの情報を確認してください。時間が経つほど状況が悪化する可能性があるため、できるだけ早く動くことが重要です。

ドメインの管理状況を確認する

自社のドメイン(例: example.co.jp)が誰の名義で登録されているかを確認します。WHOIS検索サービスを使えば、ドメインの登録者名・管理者連絡先・有効期限・登録しているレジストラ(ドメイン管理会社)を調べることができます。

WHOIS検索はJPRS(株式会社日本レジストリサービス)の公式サイトや、各レジストラのWHOIS検索ページから無料で実行できます。確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 登録者名が自社名義か、制作会社名義か
  • ドメインの有効期限はいつか(期限切れが迫っていないか)
  • レジストラ(指定事業者)はどこか(お名前.com、ムームードメインなど)
  • 管理者の連絡先メールアドレスは誰のものか

登録者名が自社名義であれば、レジストラに連絡することで管理権限を回復できる可能性が高くなります。制作会社名義の場合は、手続きが複雑になりますが、方法はあります。

サーバーの契約状況を確認する

サイトがどのサーバーで動いているかを確認します。制作時の資料やメールを探し、サーバーの契約情報(サーバー会社名、契約プラン、ログイン情報)がないか確認してください。契約資料が見つからない場合でも、サイトのIPアドレスからサーバー会社を特定することができます。

確認すべきポイントは以下です。

  • サーバーの契約者名義が自社か、制作会社か
  • サーバーの管理画面(コントロールパネル)のログイン情報を持っているか
  • サーバーの支払い状況(支払いが止まっていないか)

WordPressの管理者アカウント情報を確認する

WordPressの管理画面(通常は https://ドメイン名/wp-admin/ )にログインできるか確認します。管理者権限のアカウントでログインできれば、サイトの内容変更やバックアップの取得が可能です。ログインできない場合は、後述する方法で管理者権限を回復する手順を踏みます。

制作時に受け取った資料やメールの中に、WordPressのログイン情報が記載されている場合があります。「納品書」「引き渡し資料」「アカウント情報」などの件名で検索してみてください。また、ブラウザのパスワード保存機能に記録が残っている可能性もあります。Google ChromeやFirefoxの保存済みパスワードを確認することで、ログイン情報が見つかるケースがあります。

ドメインの管理権限を取り戻す手順

ドメインの管理権限の回復は、最も優先度が高い作業です。ドメインが失効してしまうと、自社のURLが使えなくなり、最悪の場合は第三者に取得されてしまいます。ドメインは一度失うと同じものを取り戻せる保証はないため、サーバーやWordPressの対応よりもドメインを最優先で確保してください。

ドメインの登録者が自社名義の場合

登録者名義が自社であれば、比較的スムーズに管理権限を回復できます。JPドメイン(.jp、.co.jpなど)の場合は、JPRS(日本レジストリサービス)の制度に基づき、「指定事業者変更」の手続きを行います(出典 JPRS ドメイン名の管理指定事業者の変更)。

手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 変更先の指定事業者(お名前.com、ムームードメインなど、移管先のサービス)を決める
  2. 変更先の指定事業者に「指定事業者変更」を申請する
  3. 認証コード(AuthCode)の確認が求められる場合は、変更元の指定事業者に発行を依頼する
  4. 変更元の指定事業者が廃業している場合、JPRSに直接相談して手続きを進める

変更元の制作会社が廃業して連絡が取れない場合でも、ドメインの登録者が自社であることを証明できれば、JPRSやレジストラの協力を得て手続きを進められるケースがあります。登記簿謄本や印鑑証明書など、自社の法人情報を証明する書類を準備しておくと手続きがスムーズです。

指定事業者変更の手続きは、開始から完了まで数日〜数週間かかる場合があります。手続き中はサイトの表示に影響はありませんが、ドメインの有効期限が迫っている場合は、更新手続きと並行して進める必要があります。

ドメインの登録者が制作会社名義の場合

ドメインの登録者名義が制作会社になっている場合、手続きは複雑になります。制作会社が廃業している以上、「登録者の同意」を得ることができません。

この場合の現実的な対処法は以下のとおりです。

  • 制作会社の代表者や元従業員に連絡を取り、ドメイン移管への協力を依頼する
  • 制作会社の破産管財人がいる場合は、管財人を通じて移管手続きを進める
  • レジストラに制作会社の廃業を証明する資料(登記簿謄本など)を提出し、特例対応を相談する

いずれの方法でも解決しない場合は、ドメインの有効期限が切れるのを待ち、失効後に自社名義で再取得するという最終手段があります。ただし、ドメインが失効すると検索エンジンの評価がリセットされ、第三者に先に取得されるリスクもあるため、できる限り移管で解決することを推奨します。

ドメインの有効期限が迫っている場合の緊急対応

ドメインの有効期限が残り数日〜数週間しかない場合は、一刻を争います。gTLDドメイン(.comや.netなど)の場合、ICANNの「期限切れドメイン回復ポリシー(ERRP)」に基づき、有効期限から約30日間は「猶予期間」が設けられています(出典 ICANN Expired Registration Recovery Policy)。この期間内であれば、ドメインの更新や移管が可能です。

ただし、猶予期間を過ぎると「償還期間(Redemption Period)」に入り、高額な復旧費用が発生するか、ドメインが完全に削除されて第三者に取得可能な状態になります。ドメインの期限切れに気づいたら、即座にレジストラに連絡してください。

サーバーの管理権限を取り戻す手順

サーバーの管理権限の回復は、ドメインと並んで優先度の高い作業です。サーバーの契約が切れるとサイトのデータが消失する可能性があります。

サーバー契約が自社名義の場合

サーバーの契約者が自社名義であれば、サーバー会社のサポートに連絡して、ログイン情報のリセットを依頼してください。本人確認ができれば、管理画面のログイン情報を再発行してもらえます。

ログイン情報を回復したら、最優先でサイトデータのバックアップを取得してください。FTP接続やサーバーのファイルマネージャーを使って、サイトの全ファイルとデータベースをダウンロードします。バックアップさえ確保できれば、最悪の場合でもサイトを別のサーバーに復元できます。

サーバー契約が制作会社名義の場合

サーバーの契約者が制作会社名義で、かつ制作会社が廃業している場合、サーバー会社から直接データを引き出すことは基本的にできません。サーバー会社にとって契約者は制作会社であり、第三者にデータを渡すことは契約上できないためです。

この場合の対処法は以下のとおりです。

  1. 制作会社の代表者や元従業員に連絡し、サーバーのログイン情報を提供してもらう
  2. WordPressの管理画面にログインできるなら、プラグイン(UpdraftPlusなど)を使ってバックアップを取得する
  3. サーバー会社に事情を説明し、データの引き渡しやサーバー契約の名義変更を相談する

サーバー会社によっては、制作会社の廃業を証明する書類を提出することで、特例としてデータの引き渡しや契約の名義変更に応じてくれる場合があります。対応はサーバー会社ごとに異なるため、まずは問い合わせてみてください。エックスサーバーやさくらのレンタルサーバなど大手のサーバー会社であれば、こうした相談窓口が整備されています。

なお、WordPressの管理画面にログインできる状態であれば、サーバーの管理権限がなくてもサイトのバックアップは取得可能です。UpdraftPlusやAll-in-One WP Migrationなどのプラグインをインストールし、サイトデータを丸ごとダウンロードしておくことを強く推奨します。この方法で取得したバックアップがあれば、新しいサーバーにサイトを復元することができます。

サーバー契約が切れる前にデータを確保する

制作会社が廃業すると、サーバー費用の支払いも止まります。多くのレンタルサーバーでは、支払いが止まってから一定期間(通常1〜3ヶ月)でデータが完全に削除されます。この期間内にデータを確保できなければ、サイトは復元不可能になります。

制作会社の廃業を知った時点で、サーバーのデータ確保を最優先で進めてください。ドメインは最悪の場合でも新しいドメインに変更できますが、サイトのデータが消失すると、コンテンツをゼロから作り直すことになります。

WordPressの管理者権限を回復する方法

ドメインとサーバーの管理権限を確保したら、次はWordPressの管理者権限を回復します。

ログイン情報が不明な場合はパスワードリセットを試す

WordPressのログイン画面にある「パスワードをお忘れですか?」のリンクから、パスワードリセットを試してください。制作時に登録されたメールアドレスにリセットリンクが送信されます。

リセットメールが届かない場合は、登録メールアドレスが制作会社のアドレスになっている可能性が高いです。制作会社が廃業していれば、そのメールアドレスも使えなくなっているため、リセット機能は使えません。この場合、サーバーの管理画面(phpMyAdmin)からデータベースに直接アクセスし、管理者アカウントのメールアドレスを自社のものに変更する方法があります。

データベースから管理者アカウントを作成する方法もある

サーバーの管理画面にアクセスできる場合、phpMyAdmin(データベース管理ツール)を使って、新しい管理者アカウントを直接作成することも可能です。具体的には、WordPressのデータベースにある「wp_users」テーブルに新しいユーザーを追加し、「wp_usermeta」テーブルで管理者権限を付与する作業です。

この方法は技術的な知識が必要なため、不安がある場合はWordPressの保守業者に依頼することを推奨します。費用は数千円〜1万円程度が目安です。データベースの操作を誤るとサイトが表示されなくなるリスクがあるため、作業前に必ずデータベースのバックアップを取得してから行ってください。

いずれの方法でも、管理者権限を回復したら以下の作業を行ってください。

  • 管理者アカウントのパスワードを自社で管理できるものに変更する
  • 制作会社のアカウントが残っていれば削除する
  • 不審なプラグインやユーザーが追加されていないか確認する
  • サイト全体のバックアップを取得する

制作会社の廃業で起きる「最悪のシナリオ」とその防ぎ方

制作会社の廃業による被害で最も深刻なのは、ドメインの失効とサーバーデータの消失が同時に起こるケースです。ドメインが第三者に取得され、サイトのデータも残っていなければ、URLも中身もすべてゼロからのやり直しになります。

弊社が対応した事例では、制作会社の廃業に気づくのが半年遅れ、すでにドメインが失効していたケースがありました。幸い、サーバーのデータは残っていたため、新しいドメインでサイトを復元できましたが、旧ドメインで積み上げた検索エンジンの評価はすべて失われました。名刺やチラシに刷り込んだURLも変更が必要になり、間接的な損失は数十万円に上りました。

このような事態を防ぐためには、制作会社に依存しない管理体制を事前に構築しておくことが不可欠です。制作会社の廃業率は決して低くありません。特に小規模な制作会社やフリーランスの場合、数年後に事業を畳んでいるケースは珍しくないのが実情です。「うちの制作会社は大丈夫」と思わず、万が一に備えておくことが経営判断として正しい選択です。

制作会社に依存しない管理体制を作るためのチェックリスト

制作会社がいつ廃業しても自社のサイトを守れるように、以下の項目を確認し、対策を講じてください。

項目 理想的な状態 対策
ドメインの名義 自社名義で登録 WHOIS情報を確認し、制作会社名義であれば移管を依頼
サーバーの名義 自社名義で契約 自社名義で契約し、制作会社には管理用のアカウントを発行
WordPress管理者権限 自社が管理者権限を保有 管理者アカウントのID・パスワードを自社で保管
ログイン情報の管理 自社で一元管理 サーバー・ドメイン・WordPressのログイン情報を一覧にまとめる
バックアップ 自社でもバックアップを保有 サーバーの自動バックアップに加え、月1回は手動でダウンロード
支払い管理 サーバー・ドメインの支払いを自社で把握 支払い方法と更新時期をカレンダーに登録

この一覧の中で最も重要なのは、ドメインとサーバーの名義を自社にしておくことです。名義が自社にあれば、制作会社が廃業してもサイトが消えることはありません。制作会社への依頼は「作業の代行」であって、「所有権の譲渡」ではないという意識を持つことが、トラブル予防の第一歩です。

最後に

制作会社の廃業は、予測できないトラブルです。しかし、事前に管理権限を自社で確保しておけば、被害を最小限に抑えることができます。ドメインとサーバーの名義確認、WordPressのログイン情報の保管、定期的なバックアップの取得。この3つの基本的な備えだけで、制作会社が廃業しても自社のサイトを守り続けることが可能です。逆に、この3つを怠っていると、制作会社の廃業がそのまま自社サイトの消滅に直結します。

Web管理では、制作会社が廃業してしまったサイトの引き継ぎ・復旧にも対応しています。「制作会社と連絡が取れなくなった」「ドメインやサーバーの状況がわからない」という状態でも、現状調査から管理権限の回復、保守体制の構築までワンストップで対応可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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