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2026.03.02

制作会社との「相性が悪い」と感じたときに穏便に契約解除する方法

修正の依頼をしても返事が遅い。こちらの意図が伝わらず、何度もやり直しになる。提案や改善のアドバイスは一切なく、言われたことだけをやる姿勢。こうした不満が積み重なると「この制作会社とは相性が悪いのではないか」と感じ始めます。しかし、契約を解除するとなると「サイトが止まるのでは」「トラブルにならないか」と不安になり、我慢して続けてしまう方が大半です。この記事では、制作会社との契約を穏便に解除するための具体的な手順と、解除前に確認すべきポイントを解説します。

制作会社との「相性が悪い」と感じる典型的なサイン

「なんとなく不満がある」という漠然とした感覚は、多くの場合、具体的な問題に分解できます。以下のサインに複数心当たりがあれば、それは「相性」の問題ではなく、サービス品質の問題です。制作会社との関係を見直すタイミングと捉えてください。

修正依頼のレスポンスが遅い、または対応が雑になった

契約当初は翌日に返事があったのに、いつの間にか1週間放置されるようになった。修正を依頼しても「確認します」で止まり、実際に対応されるのはさらに1週間後。このパターンは、制作会社側で自社の優先度が下がっていることを意味します。

弊社に保守の乗り換え相談に来る事業者の多くが、「レスポンスの遅さ」を最大の不満として挙げます。テキストの修正1つに2週間かかるのであれば、月額を支払っている意味がありません。(修正対応に2週間かかる保守会社は、実質的に月の半分は機能していないのと同じです)

提案や改善のアドバイスがなく作業指示待ちの姿勢

「ここをこう変えてください」と言われたことだけをこなす。サイトのアクセス状況を見て改善提案をするわけでもなく、セキュリティ上の懸念があっても自発的に報告しない。保守契約の本来の価値は「プロとしての視点で自社のサイトを見守ってもらうこと」にあります。指示したことだけを処理するだけなら、それは保守ではなく単なる作業代行です。

WordPressの重大な脆弱性が発表されたときに、制作会社から何の連絡もなかったという経験はないでしょうか。プラグインの更新通知やPHPのバージョンアップの必要性について、制作会社側から一度も報告がないのであれば、サイトのセキュリティが放置されている可能性があります。本当にサイトを見守っている保守会社であれば、こうした情報は能動的に共有してくれるものです。

費用に見合った成果や対応が得られていないと感じる

月額2〜3万円を支払っているのに、実際に行われている作業はサーバー代の支払い代行と月1〜2回のテキスト修正だけ。保守契約の内容と実際のサービスにギャップがある場合、費用対効果に疑問を持つのは当然です。「何にお金を払っているのかわからない」という状態は、契約を見直すべき明確なシグナルです。

また、修正のたびに別途見積もりを求められるケースも問題です。月額の保守費用を支払っているにもかかわらず、テキストの修正1つで「追加費用5,000円」と言われるのでは、何のための月額契約なのかわかりません。保守契約の範囲内で対応できる作業と別途費用が発生する作業の境界線が曖昧な場合、制作会社に有利な解釈をされがちです。

「我慢して続ける」ことのコストは想像以上に大きい

不満を感じながらも「面倒だから」「トラブルになりそうだから」と我慢して契約を続ける方がいますが、その判断自体がコストを生み続けています。

対応が遅い制作会社に保守を任せ続けるということは、以下のリスクを抱え続けるということです。

  • サイトの不具合や更新が遅れることによる機会損失
  • セキュリティ対策が不十分なまま放置されるリスク
  • 費用に見合わないサービスに毎月お金を払い続ける金銭的な無駄
  • 「いつか対応してくれるだろう」という期待が裏切られ続けるストレス

月額2万円の保守契約を不満を抱えたまま1年間続けた場合、24万円の支出です。その24万円で、対応が早く信頼できる保守会社に乗り換えたほうが、サイトの品質も自分のストレスも大幅に改善されます。我慢は美徳ではなく、コストです。

さらに見落としがちなのが、サイトの改善が進まないことによる「見えない機会損失」です。問い合わせフォームの改善提案やスマホ表示の最適化など、保守会社が本来すべきアドバイスが得られないまま時間だけが過ぎていく。その間に競合他社がサイトを改善して検索上位に上がり、自社への問い合わせが減っていく。この機会損失は、保守費用の何倍もの金額に相当する場合があります。

契約解除前に確認すべき契約書のポイント

契約解除を決意したら、実際に動く前にまず契約書の内容を確認してください。保守契約の解除条件は契約書に明記されているはずです。確認すべきポイントは以下の3つです。

解約予告期間と違約金の有無

多くの保守契約では、解約の1〜3ヶ月前に書面で通知することが求められています。予告期間を守らずに一方的に解約すると、違約金が発生する場合があります。契約書に「最低契約期間」が設定されている場合は、その期間中の解約に追加費用がかかる可能性があります。最低契約期間は6ヶ月〜1年が一般的ですが、中には2年以上の縛りを設けている会社もあります。

契約書が手元にない場合は、制作会社に契約書の写しを請求してください。契約書自体が存在しない(口頭での合意のみ)場合は、法的な拘束力が弱いため、解約のハードルは下がります。ただし、トラブルを避けるためにも、解約の意思はメールなど記録が残る形で伝えるようにしてください。

なお、保守契約が「準委任契約」に該当する場合、民法651条の規定により、各当事者はいつでも契約を解除する権利を持っています(出典 e-Gov法令検索 民法第651条)。ただし、相手方に不利な時期に解除した場合は損害賠償の義務が生じることがあるため、解約予告期間を守って穏便に進めるのが賢明です。

サイトデータ・ドメイン・サーバーの所有権

契約解除後に、サイトのデータ、ドメイン、サーバーがどうなるかを確認してください。自社名義であれば問題ありませんが、制作会社名義の場合は、解約と同時にサイトが使えなくなるリスクがあります。

確認項目 自社名義の場合 制作会社名義の場合
ドメイン そのまま継続利用可能 移管手続きが必要(拒否される場合あり)
サーバー そのまま継続利用可能 新サーバーへの移行が必要
サイトデータ 自社で保有 引き渡しを依頼する必要あり
WordPress管理者権限 自社で保有 アカウント情報の引き渡しが必要

制作物の著作権の帰属

ホームページのデザインやコードの著作権がどちらに帰属するかを確認してください。契約書に「著作権は制作会社に帰属する」と記載されている場合、サイトのデザインをそのまま別の会社で運用し続けることに問題が生じる可能性があります。

ただし、実務上は、制作費を支払った時点で著作権が発注者に移転する契約が多数派です。契約書に明記がない場合は、制作会社に確認してください。この点が不明確なまま契約解除を進めると、後日トラブルになる可能性があります。著作権の帰属が不明確な場合は、契約解除の際に「著作権の譲渡」を書面で確認しておくことで、将来のリスクを回避できます。

穏便に契約解除を進めるための具体的なステップ

契約解除は「ケンカ別れ」ではなく「円満な卒業」を目指してください。感情的に対立すると、引き継ぎに支障が出ます。穏便に進めることで、データの引き渡しや引き継ぎへの協力も得やすくなります。

まず不満点を「要望」として伝える

いきなり「解約します」と切り出す前に、不満に感じている点を「改善の要望」として伝えてください。「レスポンスをもう少し早くしてほしい」「月次の作業報告がほしい」など、具体的な改善要望です。

この段階で制作会社が真摯に対応してくれるなら、関係を改善できる可能性もあります。逆に、要望を伝えても改善が見られない場合は、契約解除に進む正当な理由ができます。また、改善を求めた記録(メール等)は保管しておいてください。万が一、解約時に「突然だ」と言われた場合に、「改善を求めたが対応されなかった」という経緯を示す証拠になります。

改善が見られなければ契約終了の意向を文書で伝える

改善の要望を出してから一定期間(1〜2ヶ月程度)待っても変化がなければ、契約終了の意向を伝える段階です。口頭ではなく、メールや書面で伝えてください。文書にすることで「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、解約予告期間の起算日も明確になります。

伝え方のポイントは、感情的にならず事実ベースで書くことです。「対応に不満がある」ではなく「社内の体制変更に伴い、保守契約を見直すことになりました」のように、角が立たない表現を使うのも一つの方法です。本当の理由を伝える義務はありません。

引き継ぎに必要な情報の一覧を作成して引き渡しを依頼する

契約終了に合意が得られたら、引き継ぎに必要な情報を一覧にして引き渡しを依頼します。

  • サーバーのログイン情報(コントロールパネル、FTP)
  • ドメインの管理画面のログイン情報
  • WordPressの管理者アカウント情報
  • SSL証明書の管理情報
  • サイトのバックアップデータ一式
  • メールアカウントの設定情報(サーバーでメールを運用している場合)
  • Google Analytics、Google Search Consoleの管理権限

これらの情報を一覧にまとめ、メールで依頼することで、引き渡し漏れを防ぐことができます。特にGoogle AnalyticsやGoogle Search Consoleの管理権限は見落としがちです。制作会社のGoogleアカウントで管理されている場合は、自社のGoogleアカウントへの権限移行を忘れずに依頼してください。これらのデータはサイトのアクセス解析やSEOの改善に不可欠であり、引き継ぎ後に失うと過去のデータが一切参照できなくなります。

移行先の保守会社を事前に確保しておく

現在の契約を解除してから次の保守会社を探すのではなく、解約通知を出す前に移行先を確保しておくのが理想です。保守の空白期間が生まれると、その間にWordPressの更新が放置されたり、障害発生時に対応してくれる会社がない状態になります。

移行先の保守会社には、現在のサイトの状況(使用しているサーバー、WordPressのバージョン、導入プラグインなど)を事前に共有し、スムーズに引き継げるように準備しておきましょう。移行先の保守会社に現在のサイトを事前に診断してもらうことで、引き継ぎ後に必要な作業(セキュリティ対策の強化、古いプラグインの整理など)も把握できます。

感謝を伝えつつ円満に終了する

契約解除の際は、これまでの対応に対する感謝を伝えてください。たとえ不満があったとしても、サイトの制作や運用を一定期間支えてもらったことは事実です。円満に終了することで、万が一引き継ぎ後にトラブルが発生した場合に、元の制作会社に相談できる余地を残しておけます。Web業界は意外と狭いため、どの会社とも悪い関係で終わらせないのが得策です。

制作会社が引き継ぎに非協力的な場合の対処法

残念ながら、契約解除を伝えた途端に態度が変わり、引き継ぎに非協力的になる制作会社も存在します。「サイトデータは渡せない」「ドメインの移管には応じない」と言われた場合の対処法です。

まず、契約書を再確認してください。サイトデータの引き渡し義務やドメインの移管に関する条項があれば、それを根拠に引き渡しを求めることができます。契約書に明記がない場合でも、制作費を支払済みのサイトデータを引き渡さないのは、社会通念上問題があります。特にドメインの移管を拒否する行為は、実質的に事業用の資産を人質に取っているのと同じです。

交渉が難航する場合は、以下の対応を検討してください。

  • 内容証明郵便でデータの引き渡しとドメインの移管を正式に求める
  • 弁護士に相談し、法的な対応の可能性を確認する
  • WordPressの管理画面にアクセスできるなら、プラグインでバックアップを取得する
  • ドメインが自社名義であれば、レジストラに直接連絡して移管手続きを進める

引き継ぎに応じない制作会社は、最初から顧客を囲い込む意図で契約を設計していた可能性があります。そうした会社との交渉は時間とエネルギーの無駄になりがちです。ドメインだけでも自社で確保できれば、同じURLで新しいサイトを構築して移行することができます。最悪の場合はサイトをゼロから作り直すことになりますが、不誠実な会社との関係を断ち切ること自体に大きな価値があります。

次の保守会社選びで同じ失敗を繰り返さないためのポイント

保守会社を乗り換えるなら、同じ不満を抱えない選び方をしたいところです。前の会社で感じた不満を「次の会社に求める条件」に変換し、明確な基準を持って選んでください。「なんとなく良さそう」で選ぶと、同じ失敗を繰り返す可能性があります。次の保守会社を選ぶ際にチェックすべきポイントをまとめます。

チェック項目 確認方法
レスポンスの速さ 問い合わせへの初回返信が24時間以内かどうか
保守内容の透明性 月額の内訳が明示されているか
契約の柔軟性 最低契約期間の有無、解約条件が明確か
データの所有権 サーバー・ドメインの名義を自社にできるか
報告の有無 月次の作業報告やアクセスレポートが提供されるか
改善提案の姿勢 初回相談時にサイトの課題を指摘してくれるか

特に重要なのは、ドメインとサーバーの名義を自社にできるかどうかです。名義が自社にあれば、次に保守会社を変更する際もスムーズに移行できます。「名義は弊社で管理します」と言う保守会社は、最初から囲い込みを前提にしている可能性があるため注意してください。

最後に

制作会社との相性が悪いと感じたら、我慢し続ける必要はありません。保守契約は「変えられないもの」ではなく、自社にとって最適なパートナーを選び直せるものです。穏便に契約を解除し、信頼できる保守会社に乗り換えることで、サイトの品質も経営者のストレスも大きく改善されます。大切なのは、感情的にならず、契約書に基づいて段階的に手続きを進めること。そして、引き継ぎに必要な情報を漏れなく受け取ることです。

Web管理では、他社制作サイトの引き継ぎや保守会社の乗り換えを歓迎しています。「今の制作会社から乗り換えたいが、何から手をつければいいかわからない」というご相談だけでも構いません。現状の確認から引き継ぎの段取り、移行後の保守体制の構築まで、ワンストップで対応いたします。

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