Google Analytics(GA4)を設定したまま一度もデータを確認していない。そういうサイトオーナーは、弊社の体感では全体の6〜7割に上ります。「制作会社に入れてもらったけど使い方がわからない」「ログインしたことがない」「数字を見ても何をすればいいかわからない」。理由はさまざまですが、結論として、GA4は見ていなければ設置していないのと同じです。この記事では、GA4を放置している方に向けて、最低限何を見ればよいのか、どう活用すればサイト運用の改善につながるのかを、運用保守の実務家の視点で解説します。
GA4を設定しただけで放置しているサイトは全体の6〜7割
弊社がサイトの運用保守を引き継ぐ際、GA4の利用状況を確認します。すると、GA4のタグは設置されているものの、管理画面を一度も開いたことがないというケースが大半です。制作会社がサイト構築時に「とりあえず入れておきますね」と設置し、そのまま誰も見ていない。これが中小企業のサイト運用の実態です。
GA4はデータを蓄積するツールです。設置しただけでは何の価値もありません。健康診断を受けたのに結果の封筒を開けずに放置しているのと同じです。データを見て初めて「サイトに何が起きているか」がわかり、改善のアクションにつながります。逆に言えば、データを見ないのであれば、GA4は単にサイトの読み込み速度をわずかに遅くしているだけの存在です。
「設定した」と「活用している」はまったく別の話
GA4の設定自体は、タグを1行埋め込むだけで完了します。制作会社に任せれば5分もかかりません。しかし、設定と活用の間には大きな溝があります。設定はスタートラインに立っただけであり、データを見て改善につなげて初めて「活用」です。
弊社の運用実績では、GA4を活用してアクセス状況を定期的に確認しているサイトと、まったく見ていないサイトでは、年間のページビュー数に2〜3倍の差が出るケースもあります。これは、データを見ているサイトが特別なことをしているわけではなく、「どのページが見られていないか」を把握して、タイトルや内容を修正するという基本的な改善を積み重ねた結果です。
放置している間にデータ保持期間が過ぎている可能性がある
GA4にはデータの保持期間の設定があります。デフォルトでは2か月です。Googleの公式ヘルプでも、データ保持期間はデフォルト2か月、最大14か月に変更可能と案内されています(出典 Google アナリティクス ヘルプ データの保持)。つまり、GA4を設定してから何もしていない場合、探索レポートで使える詳細データはすでに消えている可能性があります。標準レポートのデータは保持期間に関係なく閲覧できますが、ユーザー属性ごとの細かい分析ができなくなります。まずはデータ保持期間を14か月に変更してください。設定画面の「データ設定」から変更できます。
GA4を見ていないことで失っている3つの機会
GA4を放置していることで、具体的に何を損しているのか。「見なくても特に困っていない」と思っている方に、実際に失われている機会を3つ伝えます。
集客の改善機会を逃している
GA4を見れば、サイトへの訪問者がどこから来ているかがわかります。検索エンジンからなのか、SNSからなのか、他のサイトからのリンクなのか。この情報があれば、効果の出ているチャネル(流入経路)に注力し、効果の出ていないチャネルは改善するという判断ができます。GA4を見ていないと、この判断材料がゼロです。感覚で「たぶん検索から来ているだろう」と思い込んで運用しているサイトが大半ですが、実際のデータを見ると想定と違うことは珍しくありません。
人気ページと不人気ページの把握ができていない
サイト内のどのページがよく見られていて、どのページがまったく見られていないのか。この情報は、サイトの改善において最も基本的かつ重要なデータです。よく見られているページの内容を充実させれば、さらにアクセスが伸びる可能性があります。まったく見られていないページは、タイトルの変更やリライトで改善できるかもしれません。GA4を見ていないと、この判断が一切できません。すべてのページに同じ労力をかけることになり、効率の悪い運用になります。
問い合わせや申し込みの導線に問題があっても気づけない
GA4では、コンバージョン(問い合わせや申し込みなどの成果)の計測が可能です。問い合わせフォームへの到達率や、フォームからの離脱率を確認すれば、導線のどこに問題があるのかが見えてきます。「問い合わせが少ない」と漠然と感じていても、原因が特定できなければ対策の打ちようがありません。GA4のデータがあれば、「フォームのページまでは来ているが、送信に至っていない」「そもそもフォームのページに到達していない」といった原因の切り分けが可能になります。
まず最低限この3つの画面だけ見ればよい
GA4の管理画面は複雑で、初めて開くと何を見ればよいかわからないという声は非常に多いです。結論として、中小企業のサイトであれば、まずは以下の3つだけ確認すれば十分です。
「レポート」→「集客」→「概要」で訪問者数と流入元を確認する
最初に見るべきは、サイトに何人来ているか、どこから来ているかです。GA4の左メニューから「レポート」→「集客」→「概要」を開いてください。ここで表示される「ユーザー数」が、指定した期間にサイトを訪れた人数です。流入元のチャネル(Organic Search=検索、Direct=直接、Social=SNSなど)も確認できます。
月間のユーザー数が100人未満であれば、そのサイトはほぼ見られていない状態です。月間1,000人を超えていれば、中小企業のサイトとしては一定の集客ができていると判断してよいでしょう。まずは現状の数字を把握することがスタートラインです。
「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」で人気ページを確認する
次に見るべきは、サイト内のどのページが見られているかです。「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を開くと、ページごとの表示回数(ページビュー数)が一覧で表示されます。上位に来ているページが、現時点でサイトの集客を支えているページです。逆に、表示回数が極端に少ないページは、内容の見直しやタイトルの改善を検討する候補になります。
弊社の経験では、中小企業のサイトでは特定の2〜3ページにアクセスが集中していることが多いです。その他のページはほとんど見られていないというケースが大半です。この偏りを把握するだけでも、「どのページに力を入れるべきか」という判断ができるようになります。
「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」で検索とSNSの比率を確認する
3つ目は、訪問者がどの経路からサイトにたどり着いたかの詳細です。「トラフィック獲得」を開くと、Organic Search(検索エンジン経由)、Direct(URL直接入力やブックマーク)、Referral(他サイトからのリンク)、Social(SNS経由)などの比率が確認できます。
中小企業のサイトでは、Organic Search(自然検索)の割合が50〜70%であれば健全な状態です。Directの比率が異常に高い場合は、GA4の計測タグが正しく動作していない可能性もあります。(Directが80%以上を占めるサイトは、タグ設置のミスか計測除外設定の漏れを疑ってください)
GA4を見る頻度は月1回で十分
「GA4を見るべき」と言うと、「毎日チェックしなければいけないのか」と構えてしまう方がいます。結論として、中小企業のサイトであれば月に1回、10〜15分の確認で十分です。月間数百〜数千PVのサイトで日次のデータを追っても、変動が小さすぎて傾向がつかめません。月単位で前月比を確認し、大きな変化があった場合だけ原因を調べるという運用で問題ありません。
確認すべきポイントは3つだけ
月1回の確認で見るべきポイントは以下の通りです。
| 確認項目 | 見るべき指標 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 訪問者数の推移 | ユーザー数の前月比 | 前月比で20%以上の増減があれば原因を調査 |
| 流入元の変化 | チャネルごとのセッション数 | 特定チャネルの急増・急減がないか |
| 人気ページの変動 | ページビュー数の上位10ページ | 順位の入れ替わりや新規ページの浮上がないか |
この3つを確認するだけなら、慣れれば10分もかかりません。「GA4の活用」というと難しく感じますが、実態はこの程度のことです。Googleが提供している公式のGA4ヘルプでも、レポートの基本的な見方が解説されています(出典 Google アナリティクス ヘルプ アナリティクスの使用を開始する)。
毎日見ても意味がないケースがほとんど
月間PVが1万以下のサイトで日次データを追うのは、ほぼ意味がありません。日によるブレが大きすぎて、増えたのか減ったのかの判断がつかないためです。月間PVが数万を超えるサイトであれば日次のモニタリングにも意味が出てきますが、中小企業のサイトでそこまでのPVを持つケースは少数派です。「毎日見なければ」と思うことがGA4を敬遠する原因になっているなら、その考えは捨ててください。月1回で十分です。
GA4で最初にやるべき設定の確認
GA4を今から活用し始めるなら、まず現在の設定が正しいかどうかを確認してください。制作会社が設置した状態のまま放置されているGA4は、設定が不十分なケースが多いです。以下の項目を確認してください。
データ保持期間を14か月に変更する
前述の通り、GA4のデータ保持期間はデフォルトで2か月です。管理画面の「管理」→「データ設定」→「データ保持」から、イベントデータの保持期間を「14か月」に変更してください。この設定を変更しないと、探索レポートで2か月以上前のデータを分析できなくなります。変更しても過去にさかのぼってデータが復元されるわけではないため、早めに設定を変えることが重要です。
内部トラフィック(自社アクセス)を除外する
自社のスタッフがサイトを閲覧したアクセスもGA4に計測されます。社員が頻繁にサイトを確認する場合、実際の訪問者数よりも多くカウントされてしまいます。特にサイトの更新作業を行う担当者は、1日に何十回もサイトを開くことがあるため、データがかなり歪みます。
GA4では、IPアドレスを指定して内部トラフィックを除外する設定が可能です。「管理」→「データストリーム」→該当ストリームを選択→「タグ設定を行う」→「内部トラフィックの定義」から、自社のIPアドレスを登録してください。その後、「管理」→「データ設定」→「データフィルタ」で内部トラフィックフィルタを有効にする必要があります。Google公式のドキュメントでも、内部トラフィックの除外手順が案内されています(出典 Google アナリティクス ヘルプ 内部トラフィックの除外)。
Googleサーチコンソールと連携する
GA4単体では、「どの検索キーワードでサイトに来たか」を詳しく把握できません。Googleサーチコンソール(Search Console)と連携することで、検索キーワードごとの表示回数やクリック数をGA4のレポート上で確認できるようになります。連携の設定は「管理」→「サービスとのリンク」→「Search Consoleのリンク」から行えます。サーチコンソール自体の登録がまだの場合は、先にサーチコンソールにサイトを登録する必要があります。
GA4とサーチコンソールの連携は、中小企業のサイト運用において最も費用対効果の高い設定です。どちらも無料で利用できるにもかかわらず、連携していないサイトが非常に多いのが実態です。(弊社が引き継ぐサイトの約半数はサーチコンソール未登録です)
「数字を見ても何をすればいいかわからない」への回答
GA4のデータを見ても、具体的に何をすればいいかわからない。これはGA4を敬遠する最大の理由です。結論として、中小企業のサイト運用者がGA4のデータから取るべきアクションは、大きく分けて3つしかありません。
アクセスが多いページをさらに充実させる
ページビュー数が多いページは、検索エンジンやSNSから評価されているページです。そのページの内容をさらに充実させたり、関連する情報を追加したりすることで、さらにアクセスを伸ばせる可能性があります。具体的には、以下のアクションが考えられます。
- 情報が古くなっていないか確認し、最新の内容に更新する
- 関連するページへの内部リンクを追加する
- 問い合わせや申し込みへの導線を設置する(CTAボタンやリンク)
- ページの読み込み速度が遅くないか確認する
アクセスが少ないページのタイトルや内容を見直す
公開してから数か月経ってもほとんどアクセスがないページは、検索エンジンで上位に表示されていないか、そもそもユーザーが求めている情報とずれている可能性があります。タイトルの変更、見出しの修正、本文の加筆など、比較的少ない労力で改善できるポイントから着手してください。
ただし、すべてのページを改善する必要はありません。改善の優先度は「ビジネスへの貢献度が高いページ」から付けてください。サービス紹介ページや料金ページなど、問い合わせにつながりやすいページを優先的に改善するのが合理的です。
流入元に偏りがある場合はチャネルを分散させる
特定のチャネルからの流入に90%以上依存している場合は、リスク分散を検討してください。たとえば、検索エンジンからの流入に100%依存しているサイトは、Googleのアルゴリズム変更で一気にアクセスが落ちる可能性があります。SNSからの発信を始める、Googleビジネスプロフィールを活用するなど、流入経路を複数持つことで、特定チャネルの変動による影響を緩和できます。
GA4の旧バージョン(ユニバーサルアナリティクス)から移行していない場合は要注意
2023年7月にユニバーサルアナリティクス(UA)のデータ計測は終了しました。Googleは2023年7月1日をもってUAでの新しいデータの処理を停止しています(出典 Google アナリティクス ヘルプ ユニバーサル アナリティクスのサポートは終了します)。「うちのサイトにはGoogle Analyticsが入っている」と思っていても、それがUAのままでGA4に移行していない場合、2023年7月以降のデータはまったく計測されていません。
GA4が設置されているかどうかの確認方法
自分のサイトにGA4が正しく設置されているかを確認する方法は以下の通りです。
- GA4の管理画面にログインし、リアルタイムレポートを開く。自分でサイトを閲覧した際にリアルタイムレポートに反映されればGA4は正しく動作している
- サイトのソースコードを表示し、「gtag」や「G-」で始まる計測IDが含まれているか確認する。「UA-」で始まるIDしかない場合は、UAのみでGA4は未設置
- Google Tag Assistant(Googleが提供するChromeの拡張機能)を使って、GA4タグの動作を確認する
GA4が未設置だった場合は、早急に設置してください。設置していない期間のデータは取り戻せません。GA4のタグ設置自体は、WordPressであればプラグイン(Site Kit by Googleなど)を使えば数分で完了します。手動で設置する場合は、GA4の管理画面から計測タグを取得し、サイトの全ページのheadタグ内に設置します。
GA4のデータを使って「毎月のレポート」を作る方法
GA4のデータを活用する最も現実的な方法は、月次のレポートを作成することです。レポートといっても、凝った分析資料を作る必要はありません。以下の項目をスプレッドシートやExcelに毎月記録するだけで、十分にデータに基づいた運用が可能になります。
| 記録項目 | 確認場所 | 記録する数値 |
|---|---|---|
| 月間ユーザー数 | レポート → 集客 → 概要 | ユーザー数 |
| 月間ページビュー数 | レポート → エンゲージメント → 概要 | 表示回数 |
| 流入元の内訳 | レポート → 集客 → トラフィック獲得 | チャネルごとのセッション数 |
| 上位5ページ | レポート → エンゲージメント → ページとスクリーン | ページタイトルと表示回数 |
| 平均エンゲージメント時間 | レポート → エンゲージメント → 概要 | 平均エンゲージメント時間 |
この5項目を毎月記録し、前月比で比較するだけで「サイトが良くなっているのか悪くなっているのか」が数字で判断できます。直感や感覚ではなく、データに基づいて判断する。これがGA4活用の本質です。
レポート作成を外注するのも選択肢の一つ
「それでもGA4を自分で見る時間がない」「数字の意味がわからない」という場合は、レポート作成を外部に委託するのも合理的な選択肢です。弊社の運用保守サービスでも、月次のアクセスレポートを作成し、改善提案とセットで報告しています。重要なのは「誰がやるか」ではなく「データに基づいて改善が行われているか」です。自分で見られるに越したことはありませんが、見る時間がないからといってデータを無視するのは最悪の選択です。
最後に
GA4を設定したまま放置しているということは、無料で使える経営判断のツールをまったく活かしていないということです。GA4の画面は確かに複雑ですが、中小企業のサイト運用で見るべきポイントは「訪問者数」「人気ページ」「流入元」の3つだけです。月に1回、10分だけ時間を取ってこの3つを確認するだけで、サイト運用の質は確実に上がります。まずは今日、GA4にログインして、自分のサイトに月間何人の訪問者が来ているのかを確認することから始めてください。
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