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2026.04.07

「とりあえずホームページはある」状態から脱却するための3ステップ

「ホームページは一応あるけど、何年も更新していない」「作ったはいいけど、問い合わせは年に数件しか来ない」。中小企業の経営者からこうした相談を受ける機会は非常に多く、弊社に寄せられるお問い合わせの約半数がこの「とりあえずある」状態のサイトに関するものです。ホームページを持っていること自体は間違いではありませんが、放置されたサイトはむしろ企業の信頼を損ねるリスクになります。この記事では、「とりあえずある」状態から抜け出し、ホームページを事業の武器に変えるための3つのステップを、運用保守の現場視点で解説します。

「とりあえずある」ホームページは名刺代わりにすらなっていない

「ホームページは名刺代わりだから」という言葉をよく耳にします。しかし実際には、放置されたホームページは名刺代わりとしても機能していません。総務省の「令和5年通信利用動向調査」によると、企業がホームページを開設する目的として「会社案内・人材募集」が90.5%を占めています(出典 総務省 通信利用動向調査)。つまり大半の企業がホームページを「会社の顔」として位置づけています。にもかかわらず、その「顔」が何年も前の情報のまま放置されていたら、初めて訪問した人はどう感じるでしょうか。

たとえば、2020年の年末挨拶が「最新のお知らせ」として掲載されたままのサイトや、退職した社員のプロフィールが載ったままのサイトを実際に見かけます。こうしたサイトを訪問したユーザーは「この会社、まだ営業しているのか」と不安を感じます。(実際、弊社が引き継いだサイトの中には「お知らせ」の最終更新が5年以上前というケースもありました)

名刺代わりと言うのであれば、最低限の情報が正確に掲載されていなければなりません。営業時間、所在地、連絡先、サービス内容。これらが古い情報のまま放置されているサイトは、名刺代わりどころか「放置している会社」という印象を与えるマイナスの広告塔になっています。

放置されたサイトが企業に与える3つの実害

「とりあえずある」状態のホームページは、単に「活用できていない」だけではありません。実害があります(HPの更新を1年以上放置すると起こる実害も併せてご確認ください)。放置することで生じる具体的なリスクを把握しておく必要があります。

検索結果で競合に負け続ける

Googleは定期的に更新されているサイトを評価する傾向があります。Google検索セントラルの公式ドキュメントでも、コンテンツの鮮度(Freshness)はランキングに影響を与える要素として言及されています(出典 Google Search Central 有用で信頼性の高いコンテンツの作成)。何年も更新されていないサイトは、同業他社の更新頻度が高いサイトに検索順位で負け続けます。地域名とサービス名で検索したとき、自社サイトが2ページ目以降に表示されているなら、ほぼ存在しないのと同じです。

セキュリティリスクが年々高まる

放置されたWordPressサイトは、サイバー攻撃の格好の標的になります。WordPress本体やプラグインの更新が行われていないサイトは、既知の脆弱性(セキュリティ上の欠陥)がそのまま残った状態です。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2024」では、Webサイトの改ざんが引き続き主要な脅威として挙げられています(出典 IPA 情報セキュリティ10大脅威 2024)。改ざんされたサイトがフィッシング詐欺の踏み台にされれば、企業の信用は一瞬で失われます。(「うちみたいな小さい会社は狙われない」と思っている方が多いのですが、攻撃者は企業の規模ではなく脆弱性の有無で標的を選びます)

せっかくの営業機会を逃し続ける

ホームページは24時間365日稼働する営業ツールです。しかし、情報が古く、問い合わせフォームの導線がわかりにくいサイトでは、見込み客がたどり着いても問い合わせにつながりません。弊社が保守を引き継いだサイトの中には、問い合わせフォームのメール送信先が退職した社員のアドレスのまま放置されていたケースもありました。この場合、たとえ問い合わせが来ていたとしても、誰も気づいていなかったことになります。月に数件でも問い合わせを取り逃がしていれば、年間で考えると大きな機会損失です(HPからの問い合わせが0なのはデザインのせいではないで原因の切り分け方を解説しています)。

脱却のための第一歩は「現状の正確な把握」から始まる

ホームページの改善と聞くと、すぐにリニューアルを考える方が多いのですが、それは間違いです。現状を正確に把握せずにリニューアルしても、同じ「とりあえずある」状態に戻るだけです。まずは以下の項目を確認してください。

サイトの基本情報が正確かどうかを確認する

最初にやるべきことは、掲載されている情報の正確性チェックです。以下の項目が現在の状態と一致しているか確認してください。

確認項目 よくある問題
会社名・屋号 法人化前の旧名称のまま
所在地 移転前の住所が掲載されている
電話番号・FAX 変更前の番号のまま
営業時間・定休日 コロナ禍の変更が反映されていない
サービス内容・料金 すでに終了したサービスが掲載されている
スタッフ紹介 退職した社員が載ったまま
お知らせ・ブログ 最終更新が数年前

これらの情報を最新の状態に更新するだけで、サイトの信頼性は大きく変わります。特に「お知らせ」欄の最終更新日は、訪問者が最初に目にするポイントです(集客導線としてはGoogleビジネスプロフィールとの連携もあわせて整備すると効果的です)。ここが古いだけで「放置されたサイト」という印象を与えます。

アクセス解析ツールが動いているか確認する

Google Analytics(GA4)が設置されていなければ、ホームページにどれだけの人が訪問しているか、どのページが見られているかすらわかりません。弊社が引き継いだサイトの約4割が、アクセス解析ツール未設置、もしくは旧バージョン(ユニバーサルアナリティクス)のまま放置されている状態でした。GA4が設置されているかどうかは、ブラウザの開発者ツールでHTMLソースを確認するか、「Google Tag Assistant」という無料のブラウザ拡張機能で確認できます。設置されていない場合は、早急に導入してください。アクセスデータがなければ、改善の効果を測定することもできません。

SSL証明書とWordPressのバージョンを確認する

サイトのURLが「http://」のままであれば、SSL証明書(通信を暗号化する仕組み)が導入されていません。Google ChromeではSSL未対応のサイトにアクセスすると「保護されていない通信」という警告が表示されます。この警告を見た訪問者は、たいていの場合すぐにサイトを閉じます。また、WordPressのバージョンが古いまま放置されている場合は、セキュリティリスクに直結します。管理画面にログインして、ダッシュボードに「WordPressの更新が利用可能です」という通知が出ていれば、更新が必要な状態です。ただし、安易にアップデートボタンを押すのは危険です。テーマやプラグインとの互換性の問題で、サイトが表示されなくなるケースがあります。必ずバックアップを取得してから更新してください。

次に取り組むべきは「導線の整理」と「最低限のコンテンツ整備」

現状を把握できたら、次は訪問者が目的の情報にたどり着ける導線を整えます。全面的なリニューアルではなく、既存のサイトの中で優先度の高い箇所だけを改善するのがポイントです。

問い合わせまでの導線を最短にする

ホームページの最も重要な役割は「問い合わせにつなげること」です。トップページから問い合わせフォームまで、何クリックで到達できるかを確認してください。理想は全ページから1クリックで問い合わせページに遷移できる状態です。具体的には、ヘッダー(ページ上部の共通メニュー部分)に「お問い合わせ」ボタンを常時表示し、スマートフォン表示でも見切れずにタップできるサイズにしておくことが基本です。

問い合わせフォームの入力項目が多すぎるのも離脱の原因になります。名前、メールアドレス、電話番号、お問い合わせ内容。この4項目で十分です。会社名、部署名、郵便番号、住所まで入力を求めるフォームを見かけますが、初回の問い合わせ段階でここまで入力させる必要はありません。(入力項目が1つ増えるごとに離脱率が上がるというのは、Web業界では常識です)

サービス紹介ページを「選ばれる理由」が伝わる内容にする

多くの中小企業のサイトでは、サービス紹介ページが箇条書きだけで構成されています。「施工実績○○件」「創業○○年」といった情報は掲載されていても、「なぜこの会社に頼むべきか」が伝わらない。これでは訪問者の心は動きません。

サービス紹介ページに必要な要素は以下のとおりです。

  • どんな悩みを持った人向けのサービスかを明示する
  • サービスの流れを具体的に説明する(依頼から完了までの手順)
  • 料金の目安を掲載する(「要見積もり」だけでは問い合わせのハードルが上がる)
  • 実際の事例やお客様の声を掲載する
  • 他社との違いを端的に説明する

特に料金の目安を出すことは重要です。「料金はお問い合わせください」としか書かれていないサイトは、訪問者にとって不親切です。大まかな価格帯でも構わないので、「○○万円〜」という形で提示するだけで問い合わせのハードルは下がります。

スマートフォンでの表示を必ず確認する

総務省の「令和5年通信利用動向調査」によると、個人のインターネット利用端末はスマートフォンが71.2%を占めています(出典 総務省 通信利用動向調査)。自社サイトにアクセスするユーザーの多くがスマートフォンから閲覧していると考えてください。にもかかわらず、パソコン向けのデザインしか用意されていないサイトが未だに存在します。

スマートフォンで自社サイトを表示して、以下の点を確認してください。

  • 文字が小さすぎて読めない箇所がないか
  • 横スクロールが発生していないか
  • ボタンやリンクが指でタップしやすいサイズか
  • 画像がはみ出していないか
  • 電話番号をタップすると発信できるか

スマートフォン対応(レスポンシブデザイン)がされていないサイトは、Googleの検索順位でも不利になります。Googleはモバイルファーストインデックス(スマートフォン版のサイトを評価基準にする方式)を採用しているため、スマートフォンで見づらいサイトは検索結果でも上位に表示されにくくなります。

仕上げは「更新する仕組み」を作ること

現状把握と導線整理ができたら、最後のステップは「継続的に更新する仕組み」を整えることです。ここが最も重要であり、多くの企業が挫折するポイントでもあります。

月1回の定期更新だけで十分な効果が出る

「ブログを毎日更新しなければならない」「SNSと連動させなければならない」と考えて、結果的に何もできなくなるパターンは非常に多いです(HPの更新頻度はどれくらいが理想?業種別の目安も参考にしてください)。しかし、中小企業のホームページに求められる更新頻度はそこまで高くありません。月に1回、以下のような更新を行うだけで、サイトの「生きている感」は大きく変わります。

  • お知らせ欄に1件投稿する(季節の挨拶、サービスの更新情報など)
  • 施工事例・実績を1件追加する
  • ブログ記事を1本公開する
  • 料金やサービス内容の変更があれば反映する

重要なのは「無理なく続けられる頻度」で運用することです。週3回の更新を1ヶ月だけ続けるよりも、月1回の更新を1年間継続するほうが、SEO(検索エンジン最適化)においても、訪問者の信頼獲得においても効果があります。

更新担当者と作業手順を明確にする

「誰がやるのか」が決まっていないから更新が止まる。これが放置サイトの根本原因です。更新を継続するためには、担当者と作業手順を明文化する必要があります。

決めるべき項目 具体例
更新担当者 事務の○○さん / 外部の保守会社
更新頻度 月1回(毎月第1月曜日)
更新内容 お知らせ1件 + 実績1件
確認者 代表が公開前に内容を確認
作業マニュアル WordPress操作手順書(画面キャプチャ付き)

担当者が退職や異動になった際に更新が止まるケースも多いため、マニュアルは特定の個人に依存しない形で作成しておくことが重要です。WordPressのログインIDとパスワードを特定の個人だけが把握している状態は、経営上のリスクでもあります。

自社での更新が難しいなら外注するのが最善策

「担当者を決めたけど、本業が忙しくて更新する時間がない」「WordPressの操作がわからなくて手が止まる」。こうした状況は珍しくありません。専任のWeb担当者がいない中小企業にとって、ホームページの更新は常に後回しになりがちです。この場合、無理に社内で対応しようとするよりも、更新作業を外注するほうが現実的です。

Web担当者を正社員として雇用すれば月給20〜30万円のコストがかかりますが、保守・更新を外注すれば月額1〜3万円で対応できます。更新の品質も安定し、セキュリティ対策やバックアップも含めて任せられるため、経営者は本業に集中できる環境が手に入ります。(「Web担当者を雇う余裕はないけど、ホームページは放置できない」という中小企業にとって、外注は最もコスパの良い選択肢です)

リニューアルすべきか、改善で済むかの判断基準

「とりあえずある」状態を脱却するにあたって、リニューアルが必要なケースと、既存サイトの改善で十分なケースがあります。やみくもにリニューアルすれば解決するわけではなく、むしろリニューアル後に再び放置されるケースのほうが多いです。

改善で済むケースとリニューアルが必要なケース

状況 判断 理由
情報は古いがデザインは問題ない 改善で十分 コンテンツの更新と導線修正で対応可能
スマートフォン非対応 リニューアル推奨 レスポンシブ対応の後付けはコスパが悪い
WordPressのバージョンが古すぎる リニューアル推奨 セキュリティリスクが高く、更新自体が困難な場合がある
Flash(フラッシュ)を使用している リニューアル必須 現在のブラウザではFlashは動作しない
CMSが導入されていない(静的HTML) リニューアル推奨 自社で更新できる環境を整えるためにCMS導入が必要
デザインが10年以上前のまま リニューアル推奨 古いデザインは企業イメージに悪影響を与える

リニューアルの費用は規模によりますが、中小企業のコーポレートサイトで50万円〜150万円が相場です。この投資に見合う効果があるかどうかは、現状のアクセス数や問い合わせ件数を把握した上で判断してください。アクセス解析データがなければ、判断材料すら揃いません。だからこそ、まずは現状把握(GA4の導入)が最優先なのです。

リニューアル時に「運用体制」を先に決めておく

リニューアルを決断する場合、デザインやコンテンツの検討よりも先に「公開後の運用体制」を決めてください。リニューアル後に再び放置される最大の原因は、制作段階で運用のことを考えていないことにあります。制作会社にリニューアルを依頼する際は、以下の点を必ず確認してください。

  • 公開後の更新は誰が行うのか(自社 or 制作会社 or 保守会社)
  • 保守契約の内容と費用はいくらか
  • WordPressの管理者アカウント情報は自社に開示されるか
  • サーバーとドメインの契約名義は自社になっているか
  • 制作会社との契約が終了した場合、サイトのデータは引き渡されるか

特にサーバーとドメインの契約名義は重要です。制作会社名義で契約されている場合、制作会社との関係が悪化したときにサイトを移管できなくなるリスクがあります。(実際に「制作会社と連絡が取れなくなり、自社サイトにアクセスできなくなった」という相談は弊社でも年に数件あります)

費用をかけずにできる改善から始めるのが正解

「とりあえずある」状態を脱却するために、いきなり大きな費用をかける必要はありません。まずは費用ゼロでできることから着手してください。

今日からできる改善リスト

  • 掲載情報(住所・電話番号・営業時間など)が正しいか確認し、古い情報を修正する
  • お知らせ欄に1件でも新しい投稿を追加する
  • 問い合わせフォームからテスト送信して、メールが届くか確認する
  • スマートフォンで自社サイトを表示して、見づらい箇所がないか確認する
  • Google検索で自社名を検索して、どのように表示されるか確認する

これらはすべて30分〜1時間程度で実行できます。特に問い合わせフォームのテスト送信は、盲点になりがちです。「フォームは設置してあるから大丈夫」と思い込んでいたら、メールが迷惑フォルダに振り分けられていた、送信先のメールアドレスが無効になっていた、というケースは実際に少なくありません。

投資するなら「保守契約」が最もコスパが良い

費用をかけて改善する場合、最もコストパフォーマンスが高いのは保守契約の締結です。月額1〜3万円の保守契約で得られるメリットは以下のとおりです。

保守で対応できること 自社対応の場合の手間
WordPress本体・プラグインの更新 技術的な知識が必要、不具合時の対応が困難
定期バックアップ 設定方法がわからない、実施を忘れる
セキュリティ監視 専門ツールと知識が必要
SSL証明書の管理・更新 期限管理を忘れるとサイトが警告表示になる
テキスト修正・画像差し替え WordPress操作に不慣れだと時間がかかる
トラブル時の対応 原因調査も復旧も自力では困難

月額1万円で外部のWeb担当者を持てると考えれば、費用対効果は非常に高いと言えます。保守会社に依頼すれば、自社では気づけないセキュリティリスクや表示速度の問題も定期的にチェックしてもらえます。「ホームページのことは全部任せて、本業に集中する」という環境を作ること自体が、「とりあえずある」状態からの脱却です。

最後に

「とりあえずホームページはある」という状態は、実は「何もない」より厄介です。放置されたサイトは信頼を損ね、セキュリティリスクを抱え、営業機会を逃し続けます。脱却のステップは「現状把握」「導線とコンテンツの整理」「更新の仕組みづくり」の3つ。いきなり全面リニューアルに走るのではなく、まずは今日できる小さな改善から始めてください。月1回の更新を1年間続けるだけで、サイトの印象は劇的に変わります。

Web管理では、放置されたサイトの現状診断から、保守体制の構築、日常的な更新作業の代行まで一括で対応しています。他社が制作したサイトの引き継ぎも歓迎です。「とりあえずあるけど、どこから手を付ければいいかわからない」というご相談だけでも構いません。Webのことは丸投げして、本業に集中できる環境を一緒に作りましょう。

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