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2026.09.04

サーバー移転はDNS切り替えの前が勝負 手順と失敗しないための事前チェックリスト

サーバー移転が怖いと言われるのは、失敗するとサイトとメールが同時に止まるからです。しかし手順自体は確立しており、事前準備さえ正しければ、無停止で完了させることも可能です。この記事では、移転の全体像と、実務で事故になりやすい箇所を工程順に解説します。

移転の成否はDNS切り替え前の準備で決まる

結論から書きます。サーバー移転で失敗する会社は、DNSを切り替えてから問題に気づきます。正しい手順では、切り替え前に新サーバーで完全に動作する状態を作り、確認まで済ませます

移転の基本的な流れ

  1. 新サーバーを契約し、旧サーバーのデータを複製する
  2. DNSを切り替えずに、新サーバー上で表示と動作を確認する
  3. メールアカウントを新サーバー側に作成する
  4. DNSのTTL(切り替わりの速さを決める値)を短くしておく
  5. DNSを新サーバーへ切り替える
  6. 切り替え後、サイト・メール・フォームを確認する
  7. 問題がなければ旧サーバーを一定期間残して解約する

DNS切り替えは全世界に一斉反映されない

DNSの変更は、世界中のネットワーク機器に順次伝わる仕組みです。反映には数時間から48時間程度かかり、その間は旧サーバーを見る人と新サーバーを見る人が混在します。この期間を切り替え期間として設計に織り込む必要があります。

切り替え期間中は両方のサーバーを生かしておく

旧サーバーを先に解約すると、まだDNSが切り替わっていない人からサイトが見えなくなります。旧サーバーは最低でも1週間、メールを扱っている場合は2週間程度残しておいてください。(数千円を惜しんで、見えない期間を作る必要はありません)

最大の事故はメールの取りこぼし

サイトの移転より、メールの方が事故率が高く、被害も大きくなります。

切り替え期間中のメールは両方のサーバーに届く

DNSが切り替わっていく途中では、送信元によって旧サーバーに届くメールと新サーバーに届くメールが分かれます。新サーバーだけを見ていると、旧サーバーに届いた問い合わせに気づかないまま解約することになります。

メール移行で確認すべき項目

  • 旧サーバーの全メールアカウントを一覧化したか
  • 各アカウントのパスワードを把握しているか
  • 転送設定・自動返信設定を控えたか
  • 過去のメールデータを新サーバーへ移行するか、ローカルに保存するか決めたか
  • 切り替え後、旧サーバーの受信箱を数日間チェックする担当を決めたか
  • 社内PC・スマートフォンのメールソフト設定を変更する手順を用意したか

社員のメールソフト設定変更を軽視しない

サーバーが変わると、全社員のPCとスマートフォンでメールの受信サーバー設定を変更する必要があります。10人いれば10台以上の設定変更です。この作業を移転当日に慌てて始めると、その日は業務が止まります。手順書を事前に配布してください。

メールをGmailやMicrosoft 365で運用している場合、サーバー移転してもメールは影響を受けません。ただしDNSのMXレコードを新サーバー側の初期値で上書きすると、メールが全停止します。移転時に最も多い事故のひとつです。

移転前に確認すべきサーバー仕様の差

サーバーが変われば環境も変わります。移転前に確認する項目です。

確認項目 確認する理由
PHPのバージョン 新サーバーの方が新しいとテーマが動かない場合がある
データベースの種類とバージョン 移行データの互換性に影響する
ディスク容量 画像が多いサイトは容量不足になることがある
メールアカウント数の上限 プランによって作成できる数が異なる
SSL証明書 新サーバーで再取得が必要になる
独自の設定ファイル リダイレクトやアクセス制限の設定が引き継がれない
Cron設定 定時実行の設定は自動移行されない

リダイレクト設定は移行されないことが多い

過去のリニューアルで設定した旧URLからのリダイレクトは、サーバーの設定ファイルに書かれていることがあります。この設定は自動では移行されません。移転後に古いURLがすべて404になり、検索経由の流入が消えるという事故が起こります。

SSL証明書は新サーバーで取り直す

無料のSSL証明書はサーバーに紐づいているため、新サーバーで改めて設定します。DNS切り替え後でないと発行できない場合があるため、切り替え直後に証明書エラーが出る時間帯が発生し得ることを織り込んでください。

URLが変わらない移転なら検索評価への影響はほぼない

SEOへの影響を心配される方が多いのですが、条件によって話が変わります。

ドメインが同じなら評価は維持される

サーバーだけを変えてURLが変わらない場合、検索評価への影響は基本的にありません。Googleもホスティング変更時の手順を公開しており、正しく行えば問題ないとしています(出典 Google 検索セントラル ウェブ ホスティングの変更と SEO)。

ドメインも変わる場合はリダイレクト設計が必須

移転と同時にドメインを変える場合は、全ページを1対1で新URLへリダイレクトする設計が必要です。トップページにまとめて転送すると、個別ページの評価は引き継がれません(出典 Google 検索セントラル サイト・ホームページ移行について)。

移転直後の順位変動は様子を見る

移転後に一時的な順位変動が起きることがありますが、サイトの内容が変わっていなければ通常は戻ります。変動に慌てて追加の変更を加えると、原因が増えて切り分けができなくなります

移転後に必ず確認する項目

切り替えが終わったら、確認して初めて完了です。

切り替え当日に確認する

  • トップページと主要な下層ページが表示されるか
  • SSLの鍵マークが表示されるか
  • 問い合わせフォームからテスト送信し、メールが届くか
  • 各メールアカウントで送受信テストを行う
  • WordPress管理画面にログインできるか
  • 過去のリニューアルで設定した旧URLが正しく転送されるか

1週間後に確認する

旧サーバーの受信箱に届いているメールがないかを確認します。同時に、Search Consoleでクロールエラーが増えていないか、アクセス解析で流入が急減していないかを見ます。ここまで確認して問題がなければ、旧サーバーを解約してよい状態です。

WordPressの移行手順は公式にも整理されている

WordPressの移行そのものについては、公式ドキュメントに手順がまとまっています(出典 WordPress.org Migrating WordPress)。移行プラグインを使う方法もありますが、サイト規模が大きい場合は失敗しやすく、手動での移行が確実です。

最後に

サーバー移転が怖いのは、失敗するとサイトとメールが同時に止まり、しかも復旧を自社で判断できないからです。しかしDNS切り替え前に新サーバーで動作確認を済ませ、旧サーバーを一定期間残し、メール設定の変更手順を用意しておけば、事故の大半は起きません。手順よりも準備の丁寧さで決まる作業です。

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