ドメイン移管とは、ドメインを管理している会社を別の会社に変更する手続きです。サーバー移転と混同されがちですが、まったく別の作業です。移管は所有権に関わる手続きのため、認証コードや登録者情報が揃わないと進みません。この記事では、移管の手順と、実務で止まる原因を整理します。
移管はサーバー移転とは別の手続き
まず用語を整理します。ここを取り違えると、必要のない作業に時間を使うことになります。
移管はドメインの管理会社を変える手続き
ドメイン移管は、お名前.comで管理しているドメインをエックスサーバードメインに移す、といった管理会社の変更です。ドメイン名そのものは変わらず、サイトの内容にも影響しません。
サーバー移転はサイトの置き場所を変える作業
サーバー移転は、サイトのデータを置いているサーバーを変える作業です。ドメインの管理会社は変わりません。この2つはそれぞれ独立して実行でき、同時に行う必要もありません。(同時にやると、問題が起きたときの切り分けが難しくなります)
ネームサーバーの変更だけで済むケースが多い
「サーバーを変えたいから移管が必要」と考えている場合、多くはネームサーバーの設定変更だけで足ります。ドメイン管理会社はそのままで、どのサーバーを見に行くかの設定を変えるだけです。移管が本当に必要なのは、管理を1社に集約したい場合か、現在の管理会社と関係を切りたい場合に限られます。
移管に必要なものは3つ
手続きに入る前に揃えるものです。
| 必要なもの | 入手先 | ない場合 |
|---|---|---|
| 現管理会社の管理画面へのログイン情報 | 契約時の登録メール、または制作会社 | 再発行申請が必要 |
| 認証コード(AuthCode) | 現管理会社の管理画面 | 移管手続きを開始できない |
| 登録者のメールアドレス | WHOIS情報で確認 | 承認メールを受け取れず失敗する |
認証コードは移管の鍵そのもの
認証コードは、そのドメインを移管してよいという証明になる文字列です。現在の管理会社の管理画面から取得します。gTLD(.com や .net など)では必須で、これがなければ手続きが始まりません。JPドメインの場合は仕組みが異なり、指定事業者の変更という手続きになります(出典 JPRS よくある質問)。
登録者のメールアドレスが生きているか必ず確認する
移管手続きの途中で、登録者のメールアドレス宛に承認を求めるメールが届きます。ここに登録されているのが退職者のアドレスや、制作会社のアドレスだと、承認できずに手続きが失敗します。移管を始める前にWHOIS情報を確認し、必要なら先にメールアドレスを変更してください。
移管が失敗する原因は5つに絞れる
実務で止まるパターンです。
移管ロックがかかっている
不正な移管を防ぐため、多くの管理会社はドメインにロックをかけています。移管前に、現管理会社の管理画面でロックを解除する必要があります。設定名は「移管ロック」「Transfer Lock」「ドメインロック」など会社によって異なります。
取得または前回の移管から60日以内
gTLDには、取得直後や移管直後の60日間は再移管できないというルールがあります。ドメインを取ったばかりで移管しようとしても受け付けられません。この場合、期間が明けるまで待つしかありません。
有効期限が近すぎる
有効期限まで残り日数が少ない状態で移管すると、手続き中に失効する危険があります。多くの管理会社は期限間近の移管を推奨していません。期限の1〜2ヶ月前までに手続きを始めるか、先に更新してから移管するのが安全です。
WHOIS情報が古いまま
登録者情報が古く、承認メールが届かないケースです。前述のとおり、移管前に必ず確認してください。
名義が制作会社になっている
最も深刻なパターンです。登録者名義が制作会社である場合、移管には制作会社の協力が必須です。関係が悪化している状態では、事実上手続きが進みません。(店舗の賃貸契約が他人名義になっている状態と同じで、交渉するしかありません)
移管手続き中は、ネームサーバーの設定を変更しないでください。移管の完了とDNSの変更が重なると、サイトとメールが停止する時間が発生します。移管完了を確認してから、必要ならDNSを変更してください。
移管の実際の手順
準備が揃ったら手続きに入ります。
手続きの流れ
- WHOIS情報を確認し、登録者名義とメールアドレスが自社のものか確認する
- 現管理会社の管理画面で移管ロックを解除する
- 同じ画面で認証コードを取得する
- 移管先の管理会社で移管申請を行い、認証コードを入力する
- 登録者メールアドレスに届く承認メールで承認する
- 移管が完了するまで数日待つ(通常5〜7日程度)
- 完了後、移管先の管理画面でネームサーバー設定が正しいか確認する
移管しても有効期限は引き継がれる
移管によって有効期限がリセットされることはありません。多くのgTLDでは、移管手続きに1年分の更新料が含まれ、既存の有効期限に1年加算されます。移管料は実質的に更新料であり、二重に払うことにはなりません。
移管中もサイトとメールは止まらない
移管はドメインの管理会社が変わるだけで、ネームサーバーの設定を変えなければサイトもメールも稼働し続けます。手続き期間中に停止する心配は基本的にありません。
移管する前に検討すべきこと
移管が本当に必要かを判断します。
管理を1社に集約すると事故が減る
ドメインとサーバーが別会社にあると、更新期限も請求書も管理画面も別々になります。担当者が変わったときに全体像を把握できなくなり、更新忘れの温床になります。中小企業であれば、ドメインとサーバーを同じ会社に寄せる方が管理は確実に楽になります。
年間費用の差は移管理由として弱い
ドメインの管理費用は会社によって年間1,000円程度の差があります。この差額のために移管の手間とリスクを取る価値があるかは、慎重に判断してください。管理の集約や名義の是正といった、運用上の理由がある場合に実施する作業です。
名義の是正だけなら移管しなくてもよい場合がある
制作会社名義になっているドメインを自社名義に直したい場合、移管ではなく登録者名義の変更手続きで対応できることがあります。同じ管理会社の中で名義を変えるだけなので、移管より手続きが簡単です。まずこの方法が使えないか確認してください。
最後に
ドメイン移管は、認証コード・移管ロックの解除・登録者メールアドレスの3点が揃えば、あとは待つだけの手続きです。逆にこの3点のどれかが欠けていると、どれだけ手順を調べても前に進みません。そして最も多い障害は技術的な問題ではなく、名義が自社になっていないことです。移管の必要が生じる前に、WHOIS情報の確認だけは済ませておいてください。
Web管理では、月額1万円からホームページの運用保守を代行しています。ドメインの名義確認、移管手続きの代行、サーバーとの管理集約まで対応可能です。「自社のドメインが誰の名義か分からない」という状態の調査からでも承ります。お気軽にご相談ください。

