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2026.09.08

医療広告ガイドラインでクリニックのホームページに書けないこと 体験談と術前術後写真が要注意

クリニックや歯科医院のホームページは、2018年6月から医療法上の広告規制の対象になっています。それ以前は「ホームページは広告ではない」という扱いだったため、当時作られたまま更新されていないサイトには、現在では掲載できない内容が残っている可能性があります。この記事では、規制の対象範囲と、実務で問題になりやすい記載を整理します。

ホームページも広告規制の対象になっている

まず前提を確認します。

2018年の医療法改正でウェブサイトが規制対象に加わった

従来、医療機関のホームページは患者が自ら求めて閲覧するものとして、広告規制の対象外とされていました。しかし美容医療分野でのトラブル増加を受けて医療法が改正され、ウェブサイトも広告等として規制の対象になりました。厚生労働省が規制の内容と考え方を公表しています(出典 厚生労働省 医療法における病院等の広告規制について)。

対象は病院・診療所・歯科医院など

医業・歯科医業に関する広告が対象です。クリニック、歯科医院、病院のホームページはすべて含まれます。整骨院や鍼灸院は医業ではないため医療法の対象外ですが、あん摩マツサージ指圧師等に関する法律など別の規制があります。

制作会社が規制を知らないケースがある

医療機関を専門としていない制作会社は、この規制を把握していないことがあります。「制作会社が作ったのだから問題ないはず」という前提は成立しません。掲載内容の責任は医療機関側にあります。(作った側は行政指導を受けません)

禁止されている広告の類型

医療広告ガイドラインで禁止されている主な類型です。

類型 内容 ホームページでの例
虚偽広告 事実と異なる内容 「絶対安全な手術です」
比較優良広告 他院より優れている旨の表示 「県内で最も高度な治療」
誇大広告 事実を誇張した表現 「必ず治ります」
公序良俗に反する内容 わいせつ・残虐な内容 不適切な画像の掲載
患者等の体験談 治療内容や効果に関する体験談 「ここで治療して痛みが消えました」
ビフォーアフター写真 効果を誤認させるおそれのある術前術後写真 説明のない施術前後の比較画像

患者の体験談は原則として掲載できない

治療内容や効果に関する患者の体験談は、広告として掲載することが禁止されています。一般的な事業と違い、「お客様の声」を載せるという発想そのものが医療機関では成立しません。これは他業種の常識との差が最も大きい部分です。

ただし、院内の設備や接遇に関する感想など、治療内容・効果に触れないものは扱いが異なります。判断に迷う内容は掲載を避けるのが安全です。

術前術後の写真は説明なしでは掲載できない

いわゆるビフォーアフター写真は、効果について誤認を与えるおそれがあるものが禁止されています。掲載する場合は、通常必要とされる治療内容・費用・リスク・副作用などの詳細な説明を付す必要があります。写真だけを並べる構成は認められません。

比較優良広告は「日本一」「最高」などの表現全般

「地域No.1」「最新の設備」「日本有数の症例数」といった表現は、客観的な事実であっても他院と比較して優良であると示すものとして問題になり得ます。他業種のサイトでは当たり前に使われる表現が、医療では使えません

本記事は規制の概要を運用の観点から整理したものです。個別の記載が規制に該当するかの判断は、厚生労働省の公表資料を確認のうえ、管轄の保健所や専門家にご相談ください。

限定解除の要件を満たせば記載できる項目がある

すべてが一律に禁止されるわけではありません。

限定解除は4つの要件を満たす場合に適用される

広告可能な事項の限定を解除する仕組みがあり、ウェブサイトなど患者が自ら求めて入手する情報については、一定の要件を満たすことで記載できる範囲が広がります。要件の概要は以下のとおりです。

  • 患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること
  • 表示される情報について、問い合わせ先を分かりやすく記載すること
  • 自由診療の場合、通常必要とされる治療内容・費用等を記載すること
  • 自由診療の場合、治療のリスク・副作用等の情報を記載すること

限定解除しても体験談は掲載できない

重要な点として、限定解除の要件を満たしても、患者の体験談の掲載は認められません。虚偽広告・比較優良広告・誇大広告も同様に禁止されたままです。限定解除は、あくまで広告可能な事項の範囲を広げるものです。

自由診療のページは費用とリスクの記載が必須になる

自由診療のメニューを掲載する場合、標準的な費用と、想定されるリスク・副作用の記載が必要です。「詳しくはお問い合わせください」だけで済ませているページは、要件を満たしていない可能性があります。

運用でやりがちな見落とし

実務で問題になりやすい箇所です。

ブログやお知らせも規制の対象になる

院長ブログや症例紹介の記事も、医療機関が発信する内容である以上、規制の対象です。本体ページだけ整えて、ブログが野放しになっているケースが頻繁にあります。過去記事も含めて確認が必要です。

Googleビジネスプロフィールの口コミへの返信

患者からの口コミそのものは第三者の投稿ですが、医療機関がそれを自社サイトに転載すれば体験談の掲載になります。転載は避けてください。

スタッフのSNS投稿

医療機関の公式アカウントや、業務としてスタッフが運用しているアカウントの投稿も、医療機関の広告として扱われる可能性があります。運用ルールを定めておいてください。

古いページが残っていることに気づいていない

2018年より前に作られたサイトでは、体験談ページやビフォーアフターギャラリーが残っていることがあります。メニューから外れていてもURLが生きていれば閲覧可能です。サイトマップやSearch Consoleで、公開されている全ページを一度洗い出してください

点検の進め方

自院のサイトを確認する手順です。

全ページの一覧を作る

Search Consoleのページレポート、またはサイトマップから、公開されている全URLを一覧化します。メニューからたどれるページだけを見ていると、必ず漏れます。

該当しやすいページから優先的に確認する

  1. 患者の声・体験談・口コミを掲載しているページ
  2. 症例紹介・ビフォーアフターを掲載しているページ
  3. 自由診療のメニュー・料金ページ
  4. 院長ブログ・お知らせの過去記事
  5. トップページのキャッチコピー
  6. 採用ページに含まれる診療内容の記述

削除ではなく修正で対応できる場合もある

自由診療の説明ページであれば、費用とリスクの記載を追加することで要件を満たせる場合があります。一方で体験談は追記では解決しないため、削除が必要です。削除する際は、そのページへのリンクとメニュー項目も併せて外してください

最後に

医療機関のホームページは、他業種で有効な手法がそのまま使えない領域です。特に患者の体験談とビフォーアフター写真は、集客効果が高いだけに掲載されがちですが、規制上は最も注意が必要な項目です。2018年より前に作られたサイトを更新せずに運用している場合、まずは全ページの洗い出しから始めてください。

Web管理では、月額1万円からホームページの運用保守を代行しています。公開中の全ページの洗い出し、該当箇所の整理、掲載内容の修正作業まで対応可能です。判断が必要な部分は保健所や専門家の確認を前提としつつ、実際の修正作業をお任せいただけます。まずはお気軽にご相談ください。

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