Google Analytics 4(GA4)を設置したものの、その数字が正しいのか誰も検証していないという状態は珍しくありません。実際には、タグが二重に入っていて数値が水増しされている、一部のページで計測できていない、自社アクセスが混ざっている、といった問題を抱えたまま運用されているケースが多くあります。この記事では、専門知識がなくても計測の正しさを確認する手順を解説します。
最初に確認するのはリアルタイムで数えられているか
難しいことをする前に、基本の確認から始めます。
リアルタイムレポートで自分のアクセスを数える
GA4のリアルタイムレポートを開いた状態で、スマートフォンから自社サイトを開いてください。数十秒以内にユーザー数が1増えれば、計測は動いています。増えなければ、タグが動いていません。
主要ページを1ページずつ開いて計測されるか見る
トップページだけでなく、会社概要・サービス紹介・お問い合わせなど主要ページを順に開き、リアルタイムレポートのページ別表示に出てくるか確認してください。特定のページだけタグが入っていないというケースが実際にあります。(トップだけ確認して安心するのが最も危険です)
サンキューページが計測されているか特に確認する
問い合わせ完了後に表示されるサンキューページは、成果を測る上で最も重要なページです。ここが計測されていないと、問い合わせ件数を数えられません。フォームからテスト送信して、完了ページがリアルタイムに表示されるか確認してください。
タグの二重設置は最も多い設定ミス
数字が実態より多い場合、二重計測を疑います。
二重計測が起きる典型的な経緯
テーマの設定欄にタグを入れ、あとから別の担当者がプラグインでも入れる。あるいはGoogleタグマネージャーとテーマの両方から入れる。こうして同じタグが2箇所から読み込まれ、1回の閲覧が2回として数えられます。
| 設置場所 | 確認方法 |
|---|---|
| テーマの設定欄(アクセス解析コードなど) | 外観のカスタマイズまたはテーマ設定を確認 |
| プラグイン(Site Kit、GA系プラグイン) | プラグイン一覧と各設定画面を確認 |
| Googleタグマネージャー | タグマネージャー管理画面のタグ一覧を確認 |
| テーマファイルへの直接記述 | header.php等のファイルを確認 |
| 子テーマのfunctions.php | ファイルの記述を確認 |
二重設置の見分け方
ブラウザでサイトを開き、ページのソースを表示して測定ID(Gから始まる文字列)を検索してください。同じIDが2回以上出てくれば二重設置です。測定IDはGA4の管理画面から確認できます(出典 Google アナリティクス ヘルプ Google タグ ID を確認する)。
直帰率が極端に低い場合も二重計測を疑う
二重計測されていると、1回の閲覧で2回のイベントが記録されるため、直帰率が異常に低く表示されます。エンゲージメント率が不自然に高い場合も同様です。数字が良すぎる場合こそ、設定を疑ってください。
二重計測を解消すると、数値が半分近くまで下がります。これは減ったのではなく、正しくなったということです。過去データとの比較には注意してください。
自社アクセスを除外しないと数字が歪む
小規模サイトほど影響が大きい問題です。
社内からのアクセスが数字の大半を占めることがある
月間アクセスが1,000程度のサイトで、社員10人が毎日自社サイトを確認していれば、それだけで相当な割合になります。施策の効果を判断する前に、自社アクセスを取り除く必要があります。
IPアドレスによる除外設定を行う
GA4の管理画面から、データストリームの設定でIPアドレスによる内部トラフィックの除外を設定できます。オフィスの固定IPアドレスを登録すれば、そこからのアクセスが除外されます。
- オフィスのグローバルIPアドレスを確認する
- GA4の管理からデータストリームを開く
- タグ設定の詳細で内部トラフィックの定義を追加する
- データフィルタを有効にする(初期状態ではテスト状態のことがある)
- 設定後、社内からアクセスして計測されないことを確認する
データフィルタが「テスト」のままだと除外されない
内部トラフィックの定義を作っても、データフィルタの状態が「テスト」のままだと実際には除外されません。「有効」に変更するのを忘れているケースが非常に多いため、必ず確認してください。
制作会社や保守会社のアクセスも考慮する
制作会社が動作確認で頻繁にアクセスしている場合、その分も数字に含まれます。厳密に測りたい場合は、関係者のIPアドレスも除外対象に加えてください。
設定できているか確認すべきその他の項目
基本の計測が正しくなったら、次の段階です。
データ保持期間が2ヶ月のままになっていないか
GA4は初期設定でデータ保持期間が短く設定されている場合があります。管理画面のデータ設定から、保持期間を最長に変更しておいてください。過去データは後から遡って延長できません。設定を忘れると、1年前との比較ができなくなります。
Search Consoleと連携しているか
GA4とSearch Consoleを連携すると、どの検索キーワードから流入したかをGA4上で確認できるようになります。連携は管理画面から数分で完了します。
コンバージョンの設定がされているか
問い合わせ完了・電話タップ・資料請求といった成果を、キーイベントとして登録しておかないと、施策の効果を測れません。アクセス数だけを見ていても、問い合わせが増えたかは分かりません。(数字を集めることと、判断に使えることは別です)
GA4は旧バージョンと数値の定義が異なる
GA4は従来のユニバーサルアナリティクスとは計測の考え方が異なり、セッションや直帰率の定義も変わっています(出典 Google アナリティクス ヘルプ 次世代のアナリティクスのご紹介)。古い資料の数値と単純比較しないでください。
確認の頻度と担当を決めておく
一度確認して終わりにしないための運用です。
サイト更新後は必ず計測を確認する
テーマ更新・プラグイン変更・リニューアルの後は、タグが消えている可能性があります。作業後の確認項目にリアルタイムレポートのチェックを入れてください。1分で終わります。
月1回は数字の妥当性を眺める
前月比・前年同月比で不自然な変動がないかを見ます。急増していれば二重計測やスパムアクセス、急減していればタグの消失を疑う、という判断の起点になります。
数字を見る目的を決めてから設定する
すべてを計測しようとすると設定が複雑になり、結局誰も見なくなります。「問い合わせが何件来たか」「どのページ経由が多いか」の2点が分かれば、中小企業の意思決定には十分です。
最後に
GA4の数字は、設置しただけでは信用できません。リアルタイムで自分のアクセスが数えられるか、測定IDが二重に入っていないか、自社アクセスが除外されているか。この3点を確認するだけで、数字の信頼性は大きく変わります。誤った数字を根拠に施策を判断するくらいなら、数字を見ない方がまだ害が少ないという状態は避けてください。
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