台風で臨時休業を決めたのが前日の夕方。ホームページに載せようとしたが、更新できる担当者が不在で連絡もつかない。結果、当日に来店した客を追い返すことになる。こうした事態は毎年どこかで起きています。この記事では、緊急告知を確実かつ短時間で出すための手順と、平時にやっておくべき準備を解説します。
緊急告知は当日に手順を考えていては間に合わない
結論から書きます。緊急時に速く出せるかどうかは、平時に誰が・どこから・どの手順で出すかを決めてあるかで決まります。技術的な難易度の問題ではありません。
実際に起きる失敗のパターン
- 更新できる担当者が休みで、ログイン情報を誰も知らない
- ログインはできたが、どこに書けば目立つのか分からない
- お知らせに投稿したが、トップページに反映されず気づかれない
- 投稿したがキャッシュが効いていて古い内容が表示され続ける
- 復旧後に告知を消し忘れ、平常営業なのに休業中と表示され続ける
いずれも技術的な問題ではなく、準備と手順の問題です。(緊急時に必要なのは、判断ではなく手順書です)
告知が遅れると信用が直接損なわれる
臨時休業を知らずに来店した顧客、予約日に営業していなかった患者、資材が届かないと知らされなかった取引先。これらは「情報を出さなかった」という一点だけで発生する損失です。サイトの見栄えより、この即応性の方が事業への影響は大きくなります。
告知は3箇所に同時に出す
どこに出せば伝わるかを整理します。
| 掲載場所 | 役割 | 準備しておくこと |
|---|---|---|
| トップページ最上部の告知バー | 訪問者全員に確実に伝える | 表示・非表示を切り替えられる仕組み |
| お知らせ・新着情報 | 記録として残す | 投稿手順と文例 |
| Googleビジネスプロフィール | 検索結果と地図に直接表示される | 管理権限と操作担当 |
| SNS | 既存顧客への即時通知 | 投稿権限の複数人保有 |
お知らせに投稿するだけでは見られない
お知らせ一覧は、能動的に見に行く人しか開きません。臨時休業のように全員に伝えるべき情報は、トップページの最上部に、他の要素より先に目に入る形で出す必要があります。
Googleビジネスプロフィールが最も見られている場合がある
店舗型の事業では、ホームページより先にGoogleの検索結果や地図で営業時間を確認する人が多くいます。Googleビジネスプロフィールでは、管理画面から営業時間の変更や臨時休業の設定が行えます(出典 Google ビジネス プロフィール ヘルプ ビジネス プロフィールを編集する)。ホームページだけ直してビジネスプロフィールが古いままだと、情報が食い違って混乱を生みます。
電話が鳴り続ける状況を減らす効果もある
告知を確実に出しておけば、営業状況の問い合わせ電話が減ります。災害時は他の対応で手が塞がるため、この効果は実務上大きな意味を持ちます。
平時にやっておく準備は4つ
ここが本題です。準備が済んでいれば、告知は5分で出せます。
告知バーの仕組みを先に作っておく
トップページ最上部に告知を出す仕組みを、平時のうちに設置しておきます。緊急時にやるのは文章を書き換えて表示をオンにするだけという状態にしておくのが理想です。多くのテーマにはお知らせバーの機能が標準で備わっており、なければプラグインで追加できます。
文例をあらかじめ用意しておく
緊急時に文章を考えるのは負荷が高く、誤字や情報の抜けが起きます。以下のような文例を事前に用意し、日付と時間だけ差し替えれば済むようにしてください。
- 台風・大雪による臨時休業
- 営業時間の短縮
- 設備トラブルによる一時休業
- 臨時休業からの営業再開のお知らせ
- 予約済みのお客様への個別対応の案内
更新できる人を2人以上確保する
更新担当者が1人しかいない状態は、その人が不在の日に告知を出せないということです。最低2人、できれば経営者本人が更新できる状態にしておいてください。権限は編集者で十分です。(緊急時に必要なのは、権限の強さではなく人数です)
手順書を紙で保管する
停電や通信障害の可能性を考えると、手順書がサイト内やクラウドだけにある状態は不十分です。ログインURL・ID・告知の出し方・掲載する場所を1枚にまとめ、店舗と自宅の両方に紙で保管してください。
ログイン情報を紙で保管する場合、保管場所を限定し、施錠できる場所に置いてください。緊急時の可用性とセキュリティは両立させる必要があります。
告知を出すときの書き方
内容にも要点があります。
結論を最初に書く
「台風19号の接近に伴い、お客様と従業員の安全を考慮した結果」から書き始めると、肝心の情報が下に埋まります。「本日8月13日は臨時休業いたします」を最初に書いてください。理由と謝辞はその後です。
日付を必ず明記する
「本日は臨時休業します」だけでは、いつ書かれたものか分かりません。翌日に見た人が混乱します。必ず年月日を入れてください。
再開の見込みを書く
いつ再開するのか、未定なら次にいつ情報を出すのかを書きます。「復旧次第お知らせします」だけでは、来訪者が何度も確認しに来ることになります。
問い合わせ手段を示す
電話が繋がらない状況であれば、メールやSNSなど代替の連絡手段を案内してください。予約済みの顧客がいる業種では特に重要です。
復旧後の削除まで手順に含める
忘れられがちですが、事故が多いのはここです。
告知の削除を担当者と期限で決めておく
臨時休業の告知が数ヶ月出たままになっているサイトは、実際によく見かけます。営業しているのに休業中と表示されている状態は、告知しなかったのと同じかそれ以上の損害を生みます。告知を出した時点で、削除する日と担当者を決めてください。
複数箇所に出した分をすべて消す
トップページの告知バー、お知らせ投稿、Googleビジネスプロフィール、SNS。出した場所すべてを更新します。1箇所だけ古い情報が残ると、そこを見た人には伝わりません。
お知らせ投稿は残して構わない
告知バーは消す必要がありますが、お知らせ一覧の投稿は記録として残しておいて問題ありません。むしろ、災害時に対応した記録が残っていることは、事業の姿勢を示す情報になります。
年1回は手順の見直しをする
担当者の異動、ログイン情報の変更、サイトのリニューアルによって、手順書は簡単に陳腐化します。年に1度、実際にテスト投稿をして手順どおりに動くか確認してください。使えない手順書は、ない方がまだましです。
最後に
緊急告知は、技術ではなく準備の問題です。告知バーの仕組み、文例、更新できる複数の担当者、紙の手順書。この4つを平時に用意しておけば、当日にやることは文章の差し替えと公開ボタンだけになります。そして出した告知を消す日まで、あらかじめ決めておいてください。
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