WordPressは初期状態でコメント欄が有効になっています。しかし中小企業のコーポレートサイトで、コメント欄が有効に機能しているケースはほとんどありません。実際に届くのはスパムだけで、放置すればサイトの評価を下げ、対応すれば毎月の作業が発生します。この記事では、コメント欄を閉じるべき理由と、正しい閉じ方を解説します。
企業サイトのコメント欄はスパム置き場になる
結論から書きます。コミュニティ運営を目的としていない企業サイトでは、コメント欄を閉じるのが正解です。
届くコメントの大半は自動投稿されたスパム
コメント欄が有効になっているサイトには、自動化されたプログラムから大量のスパムコメントが投稿されます。内容は海外サイトへの誘導リンクや、意味をなさない文章の羅列です。これは自社サイトの人気とは無関係で、コメント欄が開いているというだけの理由で発生します。
放置すると外部リンクを大量に抱えることになる
スパムコメントを承認せず放置していても、設定によっては未承認のまま蓄積し続けます。誤って一括承認してしまうと、自社サイトが不審なサイトへのリンク集になります。これは検索評価を下げる要因になり得ます。(気づかないうちに、他人の宣伝をタダで引き受けている状態です)
対応工数が毎月発生する
スパムを削除する作業は、月に数十件から数百件になることがあります。1件ずつ内容を確認するなら相当な時間ですし、確認せず一括削除するなら、本物の問い合わせが混ざっていても気づきません。どちらにしても運用として成立していません。
企業サイトでコメント欄が機能しない理由
そもそも需要がない構造です。
問い合わせはフォームか電話で来る
顧客が企業に連絡する際、公開されるコメント欄に書き込むという行動は取りません。相談内容を他人に見られたくないためです。連絡手段としてのコメント欄は、フォームと電話の完全な下位互換です。
公開の場での質問に企業が答える負担が大きい
仮に本物の質問が来た場合でも、公開の場で回答することになります。個別事情を踏まえた回答ができず、他の閲覧者に誤解を与えるリスクもあります。回答が遅れれば、放置しているように見えます。
ネガティブな書き込みへの対処が必要になる
コメント欄を開いていると、批判的な書き込みや事実と異なる内容が投稿される可能性があります。削除すれば都合の悪い意見を消したと言われ、残せばそのまま表示され続けます。企業側にコントロールできる選択肢がありません。
コメント欄に個人情報が書き込まれた場合、公開状態で放置すると問題になります。開いている以上、こうした投稿への対応責任が自社に発生します。
コメント欄を閉じる正しい手順
設定は数分で完了しますが、既存記事への対応が必要です。
新規投稿のコメントを無効にする
- 管理画面の「設定」から「ディスカッション」を開く
- 「新しい投稿へのコメントを許可」のチェックを外す
- 変更を保存する
この設定は今後作成する投稿にのみ適用されます。既に公開されている投稿のコメント欄は開いたままです。ここを見落とすケースが非常に多くあります。
既存の投稿を一括で無効にする
- 「投稿」の一覧を開く
- 表示件数を増やし、全投稿を選択する
- 一括操作から「編集」を選び「適用」を押す
- コメントの項目を「許可しない」に変更する
- 「更新」を押す
固定ページについても同じ手順で処理してください。ページ数が多い場合は、Disable Commentsのようなプラグインで一括処理する方法もあります。
既存のスパムコメントを削除する
「コメント」の一覧を開き、スパムと未承認のコメントを一括削除します。承認済みのコメントの中にスパムが紛れていないかも確認してください。
コメント欄の表示自体が消えたか確認する
設定後、実際に投稿ページを開いてコメント欄が表示されなくなっているか確認してください。テーマによっては、無効化してもコメント欄の枠だけが残る実装になっていることがあります。
コメント欄を開いておくべきケース
例外もあります。
| サイトの性質 | コメント欄 | 理由 |
|---|---|---|
| コーポレートサイト | 閉じる | 需要がなくスパムのみが届く |
| 店舗・クリニックのサイト | 閉じる | 問い合わせはフォームと電話で足りる |
| 個人ブログ・オウンドメディア | 運用体制次第 | 読者との交流に価値がある場合もある |
| 会員向けコミュニティ | 開く | 交流が目的そのもの |
| 採用サイト | 閉じる | 応募はフォームで受け付ける |
開く場合は承認制とスパム対策を必ず設定する
コメント欄を開く判断をした場合、以下の設定は必須です。
- コメントの手動承認を有効にする
- Akismetなどのスパム対策プラグインを導入する
- コメント投稿時に名前とメールアドレスの入力を必須にする
- 一定期間を過ぎた古い投稿は自動でコメントを締め切る
- 承認と削除を行う担当者と頻度を決める
古い投稿の自動締め切りは効果が大きい
ディスカッション設定に、公開から一定日数が経過した投稿のコメントを自動で締め切る項目があります。スパムは古い投稿を狙う傾向があるため、30日程度で締め切る設定にするだけでも件数は大きく減ります。
閉じた後に確認しておくこと
関連する設定も併せて見直してください。
ピンバックとトラックバックも無効にする
ディスカッション設定にある「他のブログからの通知を受け付ける」も、実質的にスパムの経路になります。コメントと同時に無効化してください。
問い合わせ導線が十分かを確認する
コメント欄を閉じるなら、代わりの連絡手段が分かりやすく提示されている必要があります。各記事の末尾に問い合わせページへのリンクを置く、電話番号を目立つ位置に表示するといった対応をしておいてください。
ユーザー登録の設定も確認する
「設定」の「一般」にある「誰でもユーザー登録ができるようにする」は、有効になっていると不正なアカウント作成の入口になります。会員機能を使っていないサイトでは、必ず無効にしてください。コメント欄と並んで、放置されがちな設定です。
スパム対策は総合的に見直す
コメントスパムを止めても、問い合わせフォームへのスパム送信は別問題です。フォーム側にも、送信制限や認証の仕組みが入っているか確認してください。IPAも、Webサイトへの不正な投稿や攻撃への対策を継続的に呼びかけています(出典 IPA 安全なウェブサイトの作り方)。
最後に
企業サイトのコメント欄は、初期状態で有効になっているというだけの理由で開いたままになっていることがほとんどです。実際に届くのはスパムであり、放置すれば評価を下げ、対応すれば工数が発生します。新規投稿の設定と既存投稿の一括変更、そして表示の確認まで行えば、数分で完了する作業です。ピンバックとユーザー登録の設定も、この機会に併せて見直してください。
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