構造化データを入れると検索結果が目立つようになる、という説明を受けて導入を検討している会社は多くあります。しかし種類によって効果には大きな差があり、かつてリッチリザルトとして表示されていたFAQは、現在ほとんどのサイトで表示されなくなりました。この記事では、中小企業が実装すべき構造化データの優先順位を、費用対効果の観点で整理します。
構造化データは検索エンジンにページの意味を伝える仕組み
まず前提を確認します。
人には見えない補足情報
構造化データは、ページのHTMLに記述する機械向けの情報です。この住所は会社の所在地、この数字は価格、この項目は営業時間、といった意味を検索エンジンに直接伝えます。ページの見た目は一切変わりません(出典 Google 検索セントラル 構造化データ マークアップとは)。
導入しても順位が上がるわけではない
構造化データは検索順位を直接上げるものではありません。効果があるのは、検索結果の見え方が変わる場合に限られます。「SEO対策として構造化データを実装します」という提案には、何がどう表示されるようになるのかを具体的に確認してください。
実装しても表示されるとは限らない
正しく実装しても、Googleが検索結果に反映するかは別問題です。実装は表示の条件であって、保証ではありません。
優先順位はパンくず・企業情報・その他の順
中小企業が実装する順序です。
| 種類 | 効果 | 優先度 | 実装の手間 |
|---|---|---|---|
| パンくずリスト | 検索結果に階層が表示される | 高い | 低い(プラグインで自動) |
| 企業情報・地域ビジネス | 会社情報の認識精度が上がる | 高い | 低い |
| 記事 | ブログ記事の情報が整理される | 中程度 | 低い(プラグインで自動) |
| 商品 | 価格や在庫が表示される | ECなら高い | 中程度 |
| よくある質問 | 表示対象が大幅に縮小された | 低い | 低い |
| レビュー | 自社サイトの自己評価は対象外 | 低い | 中程度 |
パンくずリストが最も費用対効果が高い
パンくずリストは、検索結果にサイト内の階層が表示されるようになります。訪問者がページの位置を把握しやすくなり、実装も容易です(出典 Google 検索セントラル パンくずリストのマークアップを追加する方法)。
多くのSEOプラグインやテーマには、パンくずリストの出力機能が標準で備わっています。すでに実装されている可能性が高いため、まず現状を確認してください。
企業情報は正確性の担保として意味がある
会社名・住所・電話番号・営業時間を構造化データで明示すると、検索エンジンが情報を正確に認識しやすくなります。ローカル検索を意識する店舗型の事業では、実装する価値があります。
FAQのリッチリザルトは大幅に縮小された
かつてはFAQの構造化データを実装すると、検索結果に質問と回答が展開表示されていました。しかしGoogleは表示対象を大幅に絞り込み、現在ほとんどのサイトでは表示されません。FAQの構造化データを目的に費用をかけるのは、現時点では合理的ではありません。(数年前の情報をもとにした提案には注意してください)
自社サイトのレビューは対象外
自社が自社について書いた評価は、リッチリザルトの対象になりません。「お客様の声」ページに星評価の構造化データを入れても表示されないため、実装する意味がありません。
実態と異なる構造化データを記述すると、スパムとして扱われる可能性があります。存在しない評価、実際とは違う価格、開催していないイベントを記述しないでください。
実装方法はプラグインで足りる
WordPressサイトの場合、手書きする必要はほとんどありません。
SEOプラグインが自動で出力する
主要なSEOプラグインは、パンくずリスト・記事・企業情報の構造化データを自動で出力します。すでに導入しているなら、設定画面で企業情報を入力するだけで完了します。
実装済みかどうかを確認する
- GoogleのリッチリザルトテストにページURLを入力する
- 検出された構造化データの種類を確認する
- エラーや警告が出ていないか確認する
- Search Consoleの拡張レポートで全体の状況を見る
- 企業情報の内容が現在の情報と一致しているか確認する
複数プラグインで二重に出力されないようにする
SEOプラグインとテーマの両方が構造化データを出力していると、内容が重複または矛盾することがあります。SEOプラグインは1つに絞り、テーマ側の出力設定を確認してください。
手書きで追加するのは最小限に留める
プラグインで出力できない種類を追加する場合、テーマファイルへの記述が必要になります。この場合、子テーマを使わないと更新時に消えます。実装より、維持できる構成にすることの方が重要です。
構造化データより先にやるべきこと
優先順位の話です。
基本情報がページ内に書かれているか
構造化データは、ページ内に存在する情報を機械向けに補足するものです。そもそも営業時間や住所がページに書かれていなければ、構造化データを入れる対象がありません。まずページの内容を整えてください。
タイトルと説明文の方が影響が大きい
検索結果に表示されるタイトルと説明文は、クリックされるかどうかに直接影響します。構造化データに手をつける前に、主要ページのタイトルが適切かを確認する方が効果的です。
表示速度とスマートフォン対応が先
ページが重い、スマートフォンで崩れているという状態で構造化データを実装しても、得られる効果は限定的です。訪問者が実際に体験する部分の改善が先です。
導入後の運用で気をつけること
入れて終わりにしないための注意点です。
情報が変わったら構造化データも更新する
移転・電話番号変更・営業時間の変更があった際、ページ本文だけ直して構造化データの設定を放置すると、内容が食い違います。プラグインの設定画面に入力した企業情報も、更新対象に含めてください。
Search Consoleのエラー通知を確認する
構造化データに問題があると、Search Consoleに警告が表示されます。プラグインの更新やテーマ変更をきっかけにエラーが発生することがあるため、定期的に確認してください。
Googleの仕様変更を前提に考える
FAQの例が示すとおり、リッチリザルトの仕様は変更されます。特定の表示形式を前提に投資すると、仕様変更で価値がなくなります。実装コストの低いものから入れる、という判断が結果的に安全です。
最後に
構造化データは、順位を上げる施策ではなく、検索結果での見え方を補助する仕組みです。中小企業が優先すべきはパンくずリストと企業情報で、いずれもSEOプラグインの設定で完了します。FAQのリッチリザルトは表示対象が大幅に縮小されたため、これを目的とした投資は現時点では見合いません。まずリッチリザルトテストで現状を確認するところから始めてください。
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