ホームページにお客様の声を載せたいが、依頼しても書いてもらえない。掲載してよいか許諾を取るのが気まずい。結果として、数年前の数件だけが載ったまま更新されていない。この記事では、実際に集まる依頼のやり方と、後でトラブルにならない許諾の取り方を、実務手順として整理します。
集まらない原因は依頼のタイミングと手間
まず原因を特定します。内容の問題ではありません。
満足度が最も高い瞬間を逃している
納品から1ヶ月後に依頼しても、感情はすでに落ち着いています。依頼すべきは、成果が出た直後・問題が解決した直後・感謝の言葉をもらった直後です。この瞬間を逃すと、承諾率は大きく下がります。
自由記述で依頼すると書けない
「ご感想をお聞かせください」という依頼は、相手に文章構成から考えさせることになります。忙しい相手ほど後回しになり、そのまま忘れられます。(白紙を渡されて何か書けと言われている状態です)
手段が面倒だと実行されない
メールで依頼して返信を待つ、書面を郵送して返送してもらう、といった手段は完了率が低くなります。その場で回答できる形式にするほど、集まる数は増えます。
質問を用意すれば回答率は大きく変わる
自由記述をやめ、答えやすい質問形式にします。
そのまま使える質問の型
- 依頼前はどのようなことでお困りでしたか
- 他社ではなく当社を選んでいただいた理由は何ですか
- 実際に依頼してみて、どのような変化がありましたか
- 依頼前に不安だったことはありますか。それは解消されましたか
- 同じような課題をお持ちの方に、一言お願いします
「困っていたこと」から聞くのが重要
感想だけを聞くと「丁寧に対応してもらえました」で終わります。依頼前の課題から聞くことで、同じ悩みを持つ見込み客が自分ごととして読める内容になります。掲載価値が最も高いのは、この部分です。
不安だったことを聞くと説得力が出る
「費用が高いのではと心配でした」「途中で連絡が取れなくなるのではと不安でした」といった記述は、同じ不安を持つ見込み客に直接効きます。良いことだけが並んだ声より、実際には信用されます。
口頭で聞いてこちらで文章化する方法もある
書いてもらうのが難しい相手には、その場で口頭で質問し、こちらが文章にまとめて確認してもらう方法が有効です。この方法が最も回収率が高くなります。ただし、内容の改変にならないよう、必ず本人に確認を取ってください。
掲載許諾は書面で残す
ここを曖昧にすると、後から必ず問題になります。
口頭の許諾は担当者が変わると消える
「載せてもいいですよ」という口頭の合意は、記録が残りません。先方の担当者が変わった時点で、経緯を知る人がいなくなります。メールやフォームなど、文面が残る形で許諾を取ってください。
許諾時に明確にすべき項目
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載媒体 | ホームページのみか、パンフレット・SNSも含むか |
| 社名の表示 | 実名か、イニシャルか、業種のみか |
| 担当者名の表示 | 氏名を出すか、役職のみか |
| 写真の掲載 | 顔写真を載せるか、載せないか |
| 掲載期間 | 無期限か、期間を区切るか |
| 編集の可否 | 文言の整理を行ってよいか |
| 取り下げの連絡先 | 削除を希望する場合の窓口 |
顔写真は別途の同意が必要
文章の掲載に同意していても、顔写真の掲載は別の話です。肖像権に関わるため、写真を載せる場合は明示的に確認してください。撮影時に「ホームページに掲載します」と伝えていない写真は使わないでください。
謝礼を渡す場合は表示が必要になる
謝礼や割引と引き換えに声をもらった場合、その関係性を明示する必要があります。事業者の広告であることを隠す表示は景品表示法違反として規制されているため(出典 消費者庁 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります)、「モニターとしてご協力いただきました」といった記載を添えてください。
医療機関の場合、治療内容や効果に関する患者の体験談はホームページに掲載できません。医療広告ガイドラインで禁止されているため、他業種と同じ運用はできません。
掲載するときの構成
集めた声を、読まれる形にします。
1件を長く載せるより属性を明示する
読み手は、自分と似た立場の事例を探します。業種・規模・地域・依頼内容を明示することで、該当する見込み客に届きます。「A社様」だけでは、誰にも自分ごとになりません。
課題・選んだ理由・結果の3部構成にする
感想文をそのまま並べるのではなく、依頼前の課題、選定の決め手、依頼後の変化という順に整理して掲載してください。読み手が自社に当てはめて考えやすくなります。
数字が入っている声を優先して載せる
「問い合わせが月2件から8件になりました」「作業時間が月10時間減りました」といった具体的な数字は、他のどの表現より説得力があります。聞き取りの段階で、変化を数字で聞く質問を入れてください。
載せる場所は判断の直前
お客様の声を独立したページにまとめるだけでなく、サービス紹介ページや料金ページの中にも配置してください。判断する直前に目に入る位置が最も効きます。
継続して集める仕組みにする
一度集めて終わりにしないための運用です。
業務フローの中に依頼を組み込む
納品時の手順書に「お客様の声の依頼」を項目として入れてください。思い出したときに依頼する運用は、3ヶ月で止まります。
回答フォームを常設する
質問項目を組み込んだフォームを1つ作っておき、URLを送るだけで依頼できる状態にしてください。依頼のたびに文面を考える手間がなくなります。
古い声は日付を入れて残す
数年前の声でも、実績として機能します。ただし掲載日を明記し、当時の内容であることが分かるようにしてください。担当者名や社名が変わっている可能性もあるため、長期間掲載する場合は定期的に確認します。
取り下げ依頼には速やかに応じる
掲載後に削除を求められた場合は、速やかに対応してください。許諾を取った際に、この連絡先を伝えておくことが前提になります。
最後に
お客様の声が集まらない原因は、依頼のタイミングが遅いことと、自由記述で丸投げしていることの2点です。満足度が最も高い瞬間に、答えやすい質問形式で依頼する。これだけで集まる数は変わります。そして掲載許諾は、媒体・社名表示・写真・期間を明記した書面で残してください。口頭の合意は、必ず後から曖昧になります。
Web管理では、月額1万円からホームページの運用保守を代行しています。お客様の声の掲載ページ作成、回答フォームの設置、掲載内容の更新まで対応可能です。「集めたが載せ方が分からない」というご相談も歓迎します。

