会社紹介や施工の様子を動画にして、ホームページに載せたい。この場合、動画ファイルを直接サーバーにアップロードする方法と、YouTubeにアップして埋め込む方法があります。結論として、特別な事情がない限りYouTubeへの埋め込みを選んでください。この記事では、その理由と、埋め込み時に押さえるべき設定を解説します。
自社サーバーへの直接アップロードは3つの問題を抱える
まず、なぜ直接アップロードが不利なのかを整理します。
サーバー容量を大量に消費する
数分の動画でも、ファイルサイズは数十メガバイトから数百メガバイトになります。画像1枚が数百キロバイトであることを考えると、動画1本で画像数百枚分の容量を使います。容量が逼迫し、バックアップにも時間がかかるようになります。
再生のたびにサーバーに負荷がかかる
直接アップロードした動画は、再生されるたびにサーバーからデータが送信されます。複数の訪問者が同時に再生すると、サーバーの帯域を圧迫し、サイト全体の表示速度が落ちます。(動画を見ている人のために、他の訪問者が待たされる構造です)
回線速度に応じた画質調整ができない
YouTubeは、視聴者の回線速度に応じて自動的に画質を切り替えます。直接アップロードした動画にはこの仕組みがないため、回線が細い環境では再生が途切れます。モバイル回線での視聴が中心である以上、これは実用上大きな差になります。
YouTube埋め込みの利点と注意点
埋め込み方式の特性を整理します。
| 比較項目 | YouTube埋め込み | 直接アップロード |
|---|---|---|
| サーバー容量 | 消費しない | 大量に消費する |
| サーバー負荷 | かからない | 再生のたびにかかる |
| 画質の自動調整 | あり | なし |
| スマートフォン対応 | 標準対応 | 設定が必要 |
| 関連動画の表示 | 他社動画が出る可能性 | なし |
| YouTube側での露出 | 検索経由の流入が期待できる | なし |
| 表示速度への影響 | 外部スクリプトの読み込みが発生 | ファイルサイズ次第 |
| 費用 | 無料 | サーバー費用に含まれる |
YouTube側からの流入という副次的効果がある
YouTubeにアップロードすれば、YouTube内の検索やGoogle検索の動画枠から見つけられる可能性が生まれます。ホームページに置くだけでは得られない露出です。
関連動画に他社が表示される問題は設定で軽減できる
埋め込み動画の再生後、関連動画が表示されて他社に流れる懸念があります。埋め込みコードのオプションで、関連動画を自社チャンネルの動画に限定する設定が可能です(出典 YouTube ヘルプ 動画と再生リストを埋め込む)。
限定公開を使えばYouTube上には出さずに済む
YouTubeの検索結果や一覧に表示させたくない場合、限定公開に設定すればURLを知っている人だけが視聴できます。ホームページ専用の動画にしたい場合は、この設定を使ってください。ただしURLが分かれば誰でも見られるため、機密性の高い内容には使えません。
動画に他人の楽曲を使用すると、YouTube側で著作権の申し立てを受け、再生が制限されることがあります。フリー素材の音源であっても、商用利用の可否とクレジット表記の要否を必ず確認してください。
埋め込み時に設定すべき項目
そのまま貼るだけでは、いくつかの問題が残ります。
自動再生と音声をオフにする
ページを開いた瞬間に音が出る動画は、訪問者に強い不快感を与えます。特にオフィスや電車内で閲覧している場合、その場でページを閉じられます。自動再生は使わない、使う場合も必ず消音にするのが原則です。
スマートフォンで枠がはみ出さないようにする
YouTubeの標準の埋め込みコードは固定サイズのため、スマートフォンで横にはみ出すことがあります。画面幅に合わせて縮小される設定が必要です。WordPressのブロックエディタでYouTubeブロックを使えば、この対応は自動で行われます。
遅延読み込みを検討する
YouTubeの埋め込みは外部スクリプトを読み込むため、ページの表示速度に影響します。動画を複数配置するページでは、スクロールして見える位置に来てから読み込む設定にすると改善します。
- 自動再生をオフにする(使う場合は消音を必須にする)
- 画面幅に合わせて縮小される設定にする
- 関連動画を自社チャンネルに限定する
- 1ページに埋め込む動画は必要最小限にする
- 埋め込み後、スマートフォンで表示と再生を確認する
動画を載せる前に考えるべきこと
技術以前の話です。
動画は最後まで見られない前提で作る
ホームページに置かれた動画が最後まで再生されることは、ほとんどありません。伝えたい内容が動画の中にしかない構成は、伝わらない構成です。動画は補助として使い、要点はテキストでも書いてください。
検索エンジンは動画の中身を読めない
動画内で話している内容は、テキストとして検索対象になりません。動画の下に要点を文章で書いておくことで、検索からの流入も確保できます。
更新できない動画は負債になる
料金や営業時間を動画内に入れると、変更のたびに撮り直しが必要になります。変わる情報は動画に入れず、テキストで書いてください。(3年前の料金を紹介し続ける動画が、今も再生されていることがあります)
スマートフォンでの視聴を前提にする
閲覧の大半はスマートフォンです。小さい画面で文字が読めるか、音がなくても内容が分かるか(字幕やテロップがあるか)を確認してください。音を出さずに視聴される割合は高くなります。
直接アップロードが選択肢になる場合
例外もあります。
数秒の短い演出用動画
トップページの背景で流す数秒のループ動画など、ファイルサイズが小さく、再生ボタンを伴わないものは直接配置する構成が使われます。この場合も、ファイルサイズを十分に圧縮してください。
外部サービスに置けない機密性のある内容
会員限定の研修動画など、外部サービスに置きたくない内容の場合は、直接配置または有料の動画配信サービスを検討します。ただし限定公開のYouTubeでも、URLを知らなければ視聴できません。要件を整理してから判断してください。
YouTubeのブランディングを出したくない場合
再生画面にYouTubeのロゴが表示されることを避けたい場合、Vimeoなどの有料サービスを使う選択肢があります。中小企業のサイトで、この理由が優先されることはほとんどありません。
最後に
動画はYouTubeにアップロードして埋め込むのが、容量・負荷・再生品質のすべてで有利です。埋め込み時は、自動再生をオフにし、スマートフォンで枠がはみ出さないことを確認してください。そして動画に頼りきらず、要点はテキストでも書くこと。動画は補助であり、それ単体で情報を完結させると、読まれず検索もされない構成になります。
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