電話対応に人手が取られるのでフォームに誘導したい、という相談は増えています。一方で、フォームに寄せた結果として問い合わせ総数が減り、売上が落ちるケースもあります。この記事では、寄せるべき業種とそうでない業種の判断基準と、実際の導線設計、そして効果を測る方法を整理します。
寄せるべきかは検討期間の長さで決まる
まず判断基準です。すべての事業でフォームに寄せるべきではありません。
即時性が求められる業種は電話が主導線であるべき
| 業種 | 主導線 | 理由 |
|---|---|---|
| 水道・鍵・ガラスなどの緊急対応 | 電話 | 今すぐ来てほしいニーズ |
| クリニック・歯科の予約 | 電話または予約システム | その場で日時を確定したい |
| 飲食店の予約 | 電話または予約システム | 即答が必要 |
| 工務店・リフォーム | 両方併記 | 検討期間が長く比較される |
| 士業・コンサルティング | フォーム優先 | 内容を書いて相談したい |
| BtoBの製品・サービス | フォーム優先 | 社内検討を経て連絡が来る |
| 不動産(物件問い合わせ) | 両方併記 | 物件ごとに温度差がある |
相談内容を書きたい業種はフォームが選ばれる
士業や専門的なサービスでは、電話でいきなり相談内容を説明するのが心理的に難しく、フォームの方が使われます。電話しかない状態が、問い合わせの障壁になっているケースです。
在職中・勤務中の見込み客は電話をかけられない
転職検討者、勤務時間中のBtoB担当者、子育て中の方などは、電話をかけにくい状況にあります。この層を取りこぼしている場合、フォームの設置だけで問い合わせが増えます。
寄せるのではなく併記が基本
どちらか一方に絞るのではなく、両方を分かりやすく置き、ページの内容に応じて優先度を変えるのが現実的です。電話番号を消すという判断は、多くの業種で機会損失になります。
フォームが使われない原因は入力項目と不安
フォームを設置しても使われない場合、原因はほぼ2つです。
入力項目が多すぎる
住所・会社名・部署名・役職・電話番号・希望日時をすべて必須にすると、入力の途中で離脱されます。初回の問い合わせに必要なのは、名前・連絡先・相談内容の3項目です。(詳細は返信のやり取りで聞けば済みます)
送信後どうなるか分からない
送信したら営業電話がかかってくるのではないか、いつ返事が来るのか分からない、という不安が離脱を生みます。フォームの手前に、以下を明記してください。
- 営業日以内に返信する旨と目安の日数
- 相談だけでも問題ないこと
- しつこい営業連絡をしないこと
- 入力内容の取り扱い(プライバシーポリシーへのリンク)
- 返信の手段(メールか電話か、選択できるか)
スマートフォンで操作しづらい
入力欄が小さい、選択肢が押しにくい、エラー表示が画面外にある、といった状態では送信まで到達しません。実際に自分のスマートフォンで入力して送信してみてください。
フォームを設置したら、必ずテスト送信して管理者宛のメールが届くか確認してください。届いていない状態が数ヶ月続いていた、というのは実際によくある事故です。
導線設計の具体的な組み方
ページ上での配置です。
電話番号はタップで発信できるようにする
スマートフォンで電話番号をタップして発信できない状態は、それだけで問い合わせを失います。テキストとして書かれているだけで、リンクになっていないサイトは実際に多くあります。これは最優先で修正すべき項目です。
受付時間を電話番号の近くに書く
営業時間外にかけて繋がらなかった見込み客は、二度とかけてきません。電話番号のすぐ横に受付時間を明記し、時間外はフォームへ誘導する一文を添えてください。
ページの性質で優先度を変える
| ページ | 優先する導線 |
|---|---|
| トップページ | 両方を同等に配置 |
| 料金ページ | フォーム(見積依頼として) |
| アクセスページ | 電話(来店直前の確認) |
| ブログ記事 | フォーム(検討初期のため) |
| 採用ページ | フォーム(在職中の応募者) |
| 緊急対応の案内 | 電話 |
スマートフォンでは画面下部に固定表示する
スクロールしても常に表示される固定バーに、電話とフォームのボタンを置く構成が有効です。読み終えた瞬間に行動できる位置にあるかどうかで、実際の件数が変わります。ただし本文を隠さない高さに抑えてください。
効果を測らないと判断できない
変更した結果を確認する方法です。
電話タップ数を計測する
電話番号のリンクがタップされた回数は、GA4のイベントとして計測できます。GA4には拡張計測機能があり、外部リンクのクリックなどを自動で記録する仕組みが用意されています(出典 Google アナリティクス ヘルプ 拡張計測機能イベント)。これを計測していないと、フォームに寄せた結果として電話が減ったのかどうかが分かりません。
フォーム送信をキーイベントに登録する
送信完了ページの表示、または送信ボタンのクリックをキーイベントとして登録してください。これで問い合わせ件数が数値で追えるようになります。
合計件数で評価する
フォームが増えても電話が同じだけ減っていれば、成果はゼロです。電話タップ数とフォーム送信数の合計で評価してください。片方だけを見ると、判断を誤ります。
変更前後で比較する期間を決める
導線を変更したら、変更前の同じ期間と比較します。季節変動のある業種では、前年同月とも比較してください。1〜2週間の数字で判断すると、偶然の変動に振り回されます。
電話対応の負荷を下げる別の方法
フォームに寄せる以外の選択肢です。
よくある質問ページを充実させる
電話で頻繁に聞かれる質問をページにまとめておけば、その分の電話は減ります。営業時間・駐車場の有無・料金の目安・対応エリアといった基本情報が、電話問い合わせの大半を占めます。
料金を明記する
「料金はお問い合わせください」と書かれていると、金額を聞くためだけの電話が発生します。目安でも記載しておけば、その電話はなくなり、同時に予算の合わない問い合わせも減ります。
予約システムを導入する
日時を確定する必要がある業種では、フォームより予約システムの方が適しています。電話での日程調整という、最も時間のかかる対応をなくせます。
最後に
電話をフォームに寄せるべきかは業種によって異なり、緊急性の高い事業では電話が主導線であるべきです。多くの場合、正解は片方に絞ることではなく、両方を分かりやすく置き、ページごとに優先度を変えることです。そして変更したら、電話タップ数とフォーム送信数の合計で効果を測ってください。片方だけを見ていると、減っていることに気づけません。
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