ホームページの運用で何を見ればいいのか分からず、結果として何も見ていない。この状態が数年続くと、更新期限切れ・改ざん・情報の陳腐化といった問題が同時に表面化します。この記事では、月次で5分、年次で1時間あれば実行できる点検項目を、優先度順のチェックリストとして整理します。
月次で見るのは5項目だけ
継続できる分量に絞ります。毎月やることは、これだけです。
月次チェックリスト
| 項目 | 確認方法 | 異常時の対応 |
|---|---|---|
| サイトが表示されるか | スマートフォンでトップページを開く | エラー内容を記録して連絡 |
| SSLの鍵マーク | アドレスバーの表示を見る | 証明書の期限を確認 |
| フォームが届くか | 実際にテスト送信する | 送信設定と迷惑メールを確認 |
| 更新通知の有無 | 管理画面のダッシュボード | バックアップ後に順次更新 |
| アクセス数の推移 | GA4で前月比を見る | 急減時は計測の生存を確認 |
フォームのテスト送信を最優先にする
5項目のうち1つしかできないなら、フォームのテスト送信を選んでください。メールが届かなくなっていることは自分では気づけず、その間の問い合わせはすべて失われます。(減ったのではなく、届いていなかった、というのが最悪の発見です)
確認は自分のスマートフォンで行う
PCではなくスマートフォンで確認してください。閲覧の大半はスマートフォンであり、表示崩れもそちらで起きます。会社のWi-Fiではなくモバイル回線で開けば、表示速度の体感も同時に確認できます。
アクセス数は増減より計測の生存を見る
数字が急減している場合、まず疑うべきは計測タグの停止です。リアルタイムレポートで自分のアクセスが数えられるかを確認すれば、1分で切り分けられます。
年次で見るのは契約と情報の陳腐化
年1回、1時間かけて確認する項目です。
契約・支払い関連
- ドメインの更新期限と自動更新の設定
- ドメインの登録者名義が自社になっているか
- サーバーの契約更新日とプラン
- 支払いに使っているクレジットカードの有効期限
- SSL証明書の種類と更新方法
- 使用中の有料テーマ・プラグインのライセンス期限
- 保守契約の内容と対応範囲
サイト停止事故の相当数は、ドメインの更新忘れかカードの期限切れが原因です。この2点だけでも年1回確認してください。
掲載情報の陳腐化
- 料金が現行のものか
- 住所・電話番号・営業時間が最新か
- 掲載している担当者に退職者が含まれていないか
- 終了したキャンペーンが現行に見えていないか
- お知らせの最新投稿が1年以上前になっていないか
- リンク切れが発生していないか
- Googleビジネスプロフィールと情報が一致しているか
アカウントと権限
- WordPressのユーザー一覧に退職者が残っていないか
- 管理者権限を持つアカウントの数が適切か
- Google Analytics・Search Consoleの権限保有者
- Googleビジネスプロフィールのオーナー権限
- バックアップ保存先のクラウドアカウントの管理者
バックアップと復元
- バックアップの最新取得日
- 保存先がサーバー外になっているか
- ファイルとデータベースの両方が対象か
- 実際に復元できるかテストする
- 復元手順を知っている人が社内にいるか
バックアップは取れていても復元できない状態が実際にあります。WordPress公式もバックアップの対象としてファイルとデータベースの両方を示していますが(出典 WordPress Developer Resources Backing Up Your WordPress Site)、設定が片方だけになっている例は珍しくありません。年1回の復元テストを行っていないバックアップは、機能するかどうか誰も知らない状態です。
四半期に一度見るとよい項目
月次と年次の中間です。余裕があれば行ってください。
表示速度の確認
PageSpeed Insightsでモバイルのスコアと指摘項目を確認します。画像に関する指摘が増えていれば、大きな画像がアップロードされた可能性があります。
Search Consoleのエラー確認
インデックス登録のエラー、セキュリティの問題、モバイルユーザビリティの問題を確認します。「セキュリティの問題」に通知が出ている場合は、最優先で対応が必要です。
プラグインの棚卸し
使っていないプラグイン、2年以上更新されていないプラグインがないかを確認します。数が20を超えている場合は整理を検討してください。
スマートフォン表示の全ページ確認
主要ページをスマートフォンで開き、レイアウト崩れがないか確認します。テーマやプラグインの更新をきっかけに崩れることがあります。
点検を仕組みにする
思い出したときにやる運用は続きません。
実施日を固定してカレンダーに登録する
「毎月第1営業日に月次点検」「毎年4月に年次点検」のように日付を決め、カレンダーに繰り返し登録してください。タスクとして発生しない限り、実行されません。
記録を残す
点検した日と結果を1行でも記録してください。異常が起きたとき、前回の点検がいつで、そのとき何が正常だったかが分かると、原因の絞り込みが早くなります。
死活監視で自動化できる部分は自動化する
サイトの停止検知は、監視サービスで自動化できます。無料プランでも5分間隔の監視が可能で、停止時にメール通知が届きます。月次点検で気づくより、停止した瞬間に気づける方が圧倒的に有利です。
担当を2人にする
点検の担当が1人だと、その人が忙しい月は飛ばされます。2人で交互に行う、あるいは確認結果を共有する運用にすると継続しやすくなります。
優先順位に迷ったときの順序
時間が取れない場合の判断です。
- フォームからのメールが届くか(機会損失に直結)
- ドメインとサーバーの更新期限(停止に直結)
- バックアップの取得状況(復旧可否に直結)
- 掲載している料金と連絡先の正確性(トラブルに直結)
- 退職者のアカウントと掲載写真(セキュリティと権利)
- 表示速度とスマートフォン表示(体験の質)
- アクセス数の推移(改善の材料)
上位3つは、放置すると事業に直接の損害が出る項目です。ここだけでも確認する運用にしてください。
最後に
ホームページの点検は、時間をかけるほど良いというものではありません。月5分でフォームの到達と表示を確認し、年1回1時間で契約と情報の陳腐化を確認する。この分量なら継続でき、事故の大半は事前に防げます。すべてを見ようとして何も見ない状態が、最も損失の大きい運用です。
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