自社のホームページをパソコンでしか確認していない経営者は、想像以上に多いです。弊社が保守を引き継いだサイトのうち、約7割がスマホでの表示に何らかの問題を抱えていました。文字が小さすぎて読めない、ボタンが押せない、画像がはみ出している。こうした問題があっても、経営者本人はまったく気づいていません。なぜなら、自社のサイトをスマホで確認する習慣がないからです。この記事では、スマホ表示の崩れに気づかない経営者に共通する特徴と、放置した場合のリスク、そして具体的な確認方法を解説します。
スマホ対応を軽視する経営者に共通する5つの特徴
弊社がこれまで対応してきた案件を振り返ると、スマホ表示の問題に気づいていない経営者にはいくつかの共通点があります。当てはまるものが一つでもあれば、今すぐ自社サイトをスマホで開いてみてください。
自社サイトを確認するのはパソコンだけ
最も多いパターンです。経営者がホームページを確認するのは、オフィスのデスクトップパソコンの大画面です。パソコンではきれいに表示されていても、スマホで見ると文字が極端に小さかったり、横スクロールが必要だったり、ボタンが指で押せないほど小さかったりします。パソコンでの確認だけで「うちのサイトは問題ない」と判断しているのは、店舗の正面しか見ていないのと同じです。裏口が壊れていることに気づきません。
「ホームページは制作会社に任せたから大丈夫」と思っている
制作時にスマホ対応(レスポンシブデザイン)を依頼したから、ずっとスマホで問題なく表示されるはず。この認識は間違いです。制作時点ではスマホ対応されていたとしても、その後のコンテンツ追加や更新で崩れることは頻繁に起きます。たとえば、管理画面から長い表(テーブル)を追加したときにスマホで横にはみ出す、画像を差し替えた際にサイズ指定が崩れる、といった問題は日常的に発生します。(制作会社は納品時の状態までしか保証しません。その後の更新で崩れても、連絡しない限り気づいてもらえません)
サイトのアクセス解析を見ていない
GA4(Googleアナリティクス4)などのアクセス解析ツールを導入していない、あるいは導入しているが一度も見ていない。こうした経営者は、自社サイトへの訪問者のうちスマホユーザーがどのくらいの割合を占めるかを把握していません。総務省の「令和5年通信利用動向調査」によると、個人のインターネット利用端末はスマートフォンが71.2%で最も高く、パソコン(48.5%)を大きく上回っています(出典 総務省 通信利用動向調査)。業種や業態によって差はありますが、多くの中小企業サイトでもアクセスの50〜70%がスマホ経由です。つまり、過半数のユーザーが見ている画面を確認していないことになります。
自分自身がスマホでの情報収集をしない
経営者自身が普段の情報収集をパソコンで行っている場合、スマホでのWeb閲覧体験に対する感覚が乏しくなります。「自分はスマホでそんなにサイトを見ないから、お客さんも同じだろう」と考えてしまうのです。しかし、自社の顧客の行動と経営者自身の行動は一致しません。特にBtoCビジネスでは、消費者の大半がスマホから検索しています。飲食店、美容院、クリニック、工務店といった地域ビジネスの場合、Google検索の8割以上がスマホ経由と言われています。自分の習慣で顧客の行動を判断すると、大きな見落としが生まれます。
実際に弊社が保守を担当しているある工務店のサイトでは、GA4のデータを確認したところ、全アクセスの78%がスマホ経由でした。経営者ご本人は「うちのお客さんはパソコンで調べているはず」と思っていましたが、データは正反対の結果を示していました。感覚ではなくデータで判断することが重要です。
ホームページからの問い合わせが少ないのを「業種のせい」にしている
「うちの業界はWebからの問い合わせが少ないから」「紹介中心だからホームページは名刺代わり」。こうした理由で、ホームページの状態に関心を持たない経営者もいます。しかし実際には、問い合わせが少ない原因がスマホ表示の問題にあるケースは少なくありません。弊社が対応した事例では、スマホで電話番号のリンクが正しく設定されていなかった(タップしても電話がかからない)サイトがありました。スマホ対応を修正した後、月間の問い合わせ件数が2倍に増えた事例もあります。問い合わせが少ないのは業種のせいではなく、サイトの状態のせいかもしれません。
スマホでレイアウトが崩れる主な原因
レイアウトの崩れにはいくつかの典型的なパターンがあります。技術的な詳細を知る必要はありませんが、「どんな原因で崩れるのか」を知っておくと、制作会社や保守会社への依頼がスムーズになります。
レスポンシブデザインが正しく実装されていない
レスポンシブデザインとは、画面サイズに応じてレイアウトを自動的に調整する仕組みです。パソコン、タブレット、スマホのそれぞれで適切に表示されるよう設計します。しかし、この実装が不完全なサイトは珍しくありません。特に2015年以前に制作されたサイトや、安価な制作プランで作られたサイトでは、スマホ対応が中途半端な状態のまま納品されているケースがあります。
Googleは2015年にモバイルフレンドリーアップデートを実施し、スマホ対応していないサイトの検索順位を下げる方針を打ち出しました。にもかかわらず、いまだにスマホ対応が不十分なサイトは存在します。特に「パソコン用のサイトをそのまま縮小して表示しているだけ」のサイトは、レスポンシブデザインとは呼べません。具体的な症状としては、以下のようなものがあります。
- 文字が小さすぎて指でピンチ(拡大操作)しないと読めない
- ページの右側に余白ができて横スクロールが必要になる
- ナビゲーションメニューが画面に収まらず重なって表示される
- 画像が画面幅をはみ出して横にスクロールしないと全体が見えない
- ボタンやリンクが小さすぎてタップできない
コンテンツの追加・更新時に崩れが発生する
制作時にはスマホ対応されていたのに、運用中に崩れるケースも多いです。原因は、管理画面からのコンテンツ追加時に、スマホ表示を考慮していないことです。WordPressの管理画面はパソコンで操作することが多いため、パソコンの画面幅を前提としたコンテンツを作りがちです。
たとえば、横幅の広い表(テーブル)をそのまま貼り付けると、スマホでは画面に収まらず横スクロールが発生します。幅を固定した画像を挿入すると、スマホでは画面からはみ出します。管理画面のビジュアルエディタで「パソコンで見て問題ないから大丈夫」と判断してしまうのが、崩れの温床です。(管理画面のプレビューはパソコン表示しか確認できないテーマも多いです)
WordPressテーマやプラグインの更新で崩れる
WordPressのテーマ(サイトのデザインテンプレート)やプラグインのアップデート後に、スマホ表示が崩れることがあります。テーマの開発元がアップデートでCSSを変更した場合、カスタマイズした部分との整合性が取れなくなることがあります。弊社が引き継いだサイトの中には、テーマの更新を3年以上放置した結果、最新のスマホブラウザでレイアウトが大きく崩れていたケースがありました。テーマの更新は放置するとリスクが蓄積しますが、何も確認せずに更新すると崩れるリスクもあります。更新前のバックアップと、更新後のスマホ表示確認は必須の作業です。
WordPress公式も、テーマやプラグインの更新時にはバックアップの取得と、更新後の表示確認を推奨しています(出典 WordPress.org Updating WordPress)。更新作業を自社で行っている場合は、更新のたびにパソコンとスマホの両方で表示を確認する手順を習慣化してください。
スマホ表示の崩れを放置すると発生するビジネス上の損失
「見た目の問題でしょ」と軽視する経営者もいますが、スマホ表示の崩れは直接的にビジネスの損失につながります。見た目だけの問題では済みません。
Googleの検索順位が下がる
Googleは2019年からモバイルファーストインデックス(MFI)を本格導入しています。これは、Googleがサイトを評価する際にスマホ版の表示を基準にするという仕組みです。つまり、パソコンではきれいに表示されていても、スマホで崩れていればGoogleの評価は低くなります。Googleの公式ドキュメントでも、モバイルフレンドリーなサイトを優先的にインデックスする方針が明記されています(出典 Google Search Central モバイルファーストインデックスのベストプラクティス)。スマホ表示が崩れたまま放置することは、Googleに対して「このサイトは品質が低い」と宣言しているようなものです。
訪問者の離脱率が上がり問い合わせが減る
スマホでレイアウトが崩れたサイトを見たユーザーは、すぐに離脱します。Googleの調査によると、モバイルページの読み込みに3秒以上かかると、訪問者の53%が離脱するとされています(出典 Think with Google Mobile Page Speed Benchmarks)。レイアウト崩れが発生しているサイトは読み込み速度も遅い傾向があるため、離脱率はさらに高くなります。離脱されたということは、問い合わせや購入に至らなかったということです。スマホ表示の崩れは、目に見えない機会損失を毎日生み続けています。
会社の信頼性を損なう
初めて自社のことを知った見込み客がスマホでホームページを開いたとき、レイアウトが崩れていたらどう思うでしょうか。「この会社は大丈夫だろうか」「管理がずさんな会社ではないか」と不安を感じます。特にBtoBの取引先選定では、ホームページの印象が信頼性の判断材料になります。見た目が崩れたサイトは、営業ツールとしての機能を果たしていません。名刺交換の後にスマホで自社名を検索する行動は、今や当たり前です。そのときに崩れたサイトが表示されれば、せっかくの商談の印象も台無しです。
ホームページは24時間365日働く営業担当者です。その営業担当者が、来客の半数以上に対してボロボロの身なりで応対しているのと同じ状態が、スマホ表示の崩れです。パソコンで見る経営者の目には映らないだけで、スマホで訪れるお客様の目には毎日映っています。(気づいていないのは経営者だけ、というケースが本当に多いです)
自社サイトのスマホ表示を今すぐ確認する方法
スマホ表示の確認は、特別なツールがなくてもすぐにできます。以下の3つの方法を、今日中に試してください。
実際のスマホで自社サイトを開く
最もシンプルで確実な方法です。自分のスマホで自社サイトのURLを入力して開いてください。トップページだけでなく、会社概要、サービス案内、料金ページ、問い合わせページなど主要なページをすべて確認します。以下の点をチェックしてください。
- 文字が小さすぎないか(拡大しなくても読めるか)
- 横スクロールが発生していないか
- 画像が画面からはみ出していないか
- ボタンやリンクが指で押せるサイズか
- 電話番号をタップして電話がかかるか
- 問い合わせフォームが入力しやすいか
- メニューが正しく表示・操作できるか
パソコンのブラウザでスマホ表示を再現する
Google Chromeのデベロッパーツール(開発者ツール)を使えば、パソコン上でスマホの画面サイズをシミュレーションできます。Chromeで自社サイトを開き、F12キーを押すとデベロッパーツールが表示されます。左上のスマホアイコンをクリックすると、画面がスマホサイズに切り替わります。iPhone SEやiPhone 14 Proなど、さまざまな端末サイズを選択して確認できます。ただし、実機での確認が最も正確です。ブラウザのシミュレーションでは再現できない表示の問題もあるため、シミュレーションだけで安心せず、必ず実際のスマホでも確認してください。
Googleのモバイルフレンドリーテストを使う
Googleが提供するLighthouse(ライトハウス)で、自社サイトがスマホ対応できているかを無料でチェックできます。Google Chromeのデベロッパーツールから「Lighthouse」タブを選択し、「モバイル」を対象にしてレポートを生成するだけです。パフォーマンス、アクセシビリティ、ベストプラクティス、SEOの各項目について点数と改善提案が表示されます。また、PageSpeed Insights(出典 Google PageSpeed Insights)でもモバイル表示の問題点を確認できます。URLを入力するだけで、スマホ表示に関する具体的な問題点と改善方法が表示されます。
スマホ表示の修正は保守の範囲で対応できる
スマホ表示の問題を見つけたとき、「リニューアルが必要なのでは」と身構える経営者もいますが、多くの場合はリニューアルまでは不要です。CSS(スタイルシート)の調整やテーマの設定変更で改善できるケースがほとんどです。
CSSの修正で直るケースが大半
スマホ表示の崩れの多くは、CSS(Webページの見た目を制御するファイル)の修正で対応できます。メディアクエリ(画面サイズに応じてCSSを切り替える仕組み)の追加や調整で、スマホでの表示を改善できます。たとえば、画面幅に対して画像が大きすぎる場合は「max-width: 100%」の指定を追加するだけで解決します。テーブルがはみ出す問題も、スマホ向けにスクロール可能な領域を設定するか、テーブルのレイアウトを縦並びに変更することで改善できます。
弊社の保守プランでは、こうした軽微なスマホ表示修正を月額の範囲内で対応しています。修正箇所が多い場合でも、全面リニューアルではなく部分的な改修で対応できることがほとんどです。「リニューアルに50万円かかる」と制作会社に言われた内容が、CSS修正で数時間で解決した事例もあります。(リニューアルを勧められたときは、まず修正で対応できないかセカンドオピニオンを取ることをおすすめします)
定期的なスマホ表示チェックで崩れを防げる
スマホ表示の問題は、一度修正すれば終わりではありません。コンテンツの追加、WordPressやプラグインの更新、ブラウザのバージョンアップなどによって、再び崩れが発生する可能性があります。月に1回はスマホで自社サイトの主要ページを確認する習慣をつけてください。
確認するべきページの優先順位は以下のとおりです。
| 優先度 | 対象ページ | 理由 |
|---|---|---|
| 最優先 | トップページ | 最もアクセスが多く、第一印象を決める |
| 最優先 | 問い合わせページ | コンバージョンに直結する |
| 高 | サービス・料金ページ | 検討中のユーザーが必ず見る |
| 高 | 会社概要・アクセスページ | 来店型ビジネスでは特に重要 |
| 中 | ブログ・お知らせ | 更新頻度が高く崩れやすい |
弊社の保守プランでは、WordPressの更新作業後にスマホ表示の確認を必ず行っています。更新後に崩れが発生した場合は、バックアップから復旧するか、CSSの調整で即座に対応します。サイトの運用を任せている保守会社がスマホ表示の確認を行っていない場合は、確認作業を依頼するか、保守会社の見直しを検討すべきです。
最後に
スマホでのレイアウト崩れに気づかない経営者の共通点は、「自分の目で、自分のスマホで、自社サイトを確認していない」ことに集約されます。パソコンで見て問題ないから大丈夫、制作会社に任せたから大丈夫、という思い込みが、スマホユーザーの離脱とビジネス機会の損失を生んでいます。今すぐスマホで自社サイトを開いてみてください。表示が崩れていたり、文字が読みにくかったり、ボタンが押しにくかったりすれば、それは今この瞬間もお客様が体験している不便です。
Web管理では、スマホ表示の確認と修正を保守サービスの一環として対応しています。「自社サイトのスマホ表示が心配」「崩れているかもしれないが、どこが問題かわからない」といったご相談も歓迎です。月額1万円からの保守プランで、スマホ対応を含むサイト全体の品質を維持します。まずはお気軽にお問い合わせください。



