「とりあえずホームページが必要」という理由で、ペライチのような1ページ完結型のサービスで作ったサイトをそのまま使い続けている事業者は少なくありません。開業時や副業の初期段階であれば十分に機能しますが、事業が成長するにつれて「このままでいいのだろうか」という疑問が出てきます。結論として、1ページだけのサイトには明確な限界があります。この記事では、ペライチのようなランディングページ型サービスを使い続けることのリスクと、事業のフェーズに応じたサイト移行の判断基準を、運用保守の実務家の視点で解説します。
ペライチは「最初の一歩」としては優秀だが、ゴールではない
ペライチは、テンプレートを選んで必要な情報を入力するだけで1ページのホームページが完成するサービスです。IT知識がなくても直感的に操作でき、最短で数十分でサイトを公開できます。HTMLやCSSといった専門知識は一切不要で、ドラッグ&ドロップの操作だけでページが完成します。開業届を出したばかりの個人事業主や、名刺代わりのWebページが欲しいという段階では、非常に合理的な選択肢です。
しかし、ペライチはあくまで「最初の一歩」を踏み出すためのツールです。事業の成長に合わせてサービス内容が増えたり、ブログで情報発信をしたくなったり、問い合わせの導線を複数作りたくなったとき、1ページ構成のサイトでは対応しきれなくなります。弊社に相談に来る事業者の中にも「ペライチで3年以上運用してきたが、そろそろ限界を感じている」という方が増えています。(3年間ずっと同じ1ページのまま、というケースが実に多いのです)
1ページ構成のサイトはSEOで圧倒的に不利
検索エンジンからの集客を考えたとき、1ページだけのサイトは構造的に不利です。Googleはサイト全体の情報量や構造を評価してランキングを決定しており、1ページしか存在しないサイトでは、検索エンジンに伝えられる情報が極端に限られます。
検索で上位表示されるにはテーマごとの個別ページが必要
Googleの公式SEOスターターガイドでは、サイトの階層構造を論理的に整理し、各ページに固有のテーマを持たせることが推奨されています(出典 Google Search Central SEO Starter Guide)。たとえば「整体院」であれば、「腰痛の施術」「肩こりの施術」「料金表」「アクセス」など、テーマごとにページを分けることで、それぞれのキーワードで検索結果に表示される可能性が生まれます。1ページにすべての情報を詰め込んでも、検索エンジンは「このページは何のテーマなのか」を正確に判断できません。
ブログやコラムが書けないと情報発信の手段がない
ペライチの無料プランや低価格プランでは、ページ数に厳しい制限があります。ブログ記事を追加していくことが事実上できないため、「お客様の声」や「よくある質問」「施工事例」といったコンテンツを蓄積する手段がありません。コンテンツが増えないサイトは、検索エンジンから「更新されていない古いサイト」と判断されやすくなります。Googleは「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツ」を重視しており、定期的にコンテンツが更新・追加されるサイトほど、クロール(巡回)の頻度が上がる傾向があります。結果として、1ページのまま放置されたサイトは検索順位が上がらず、サイトへの流入はほぼゼロという状態が続きます。
独自ドメインが使えないプランでは信頼性も低い
ペライチの無料プランでは独自ドメインが使えず、URLに「peraichi.com」のサブドメインが入ります。法人の名刺やチラシにこのURLを載せると、「本格的なサイトを持っていない会社なのか」という印象を与えかねません。取引先や金融機関がWebサイトを確認する際にも、サブドメインのURLは事業の信頼性にマイナスの影響を与える可能性があります。SEOの観点でも、独自ドメインでの運用はサイトの評価を蓄積する上で重要です。サブドメインのまま何年運用しても、そのドメインの評価はペライチ側に帰属し、自社の資産にはなりません。(何年も運用して得た評価が、移行時に全部リセットされるのです)
ペライチの料金を積み上げると、WordPressサイトの運用費用と大差がない
ペライチは無料プランでスタートできることが魅力ですが、事業で本格的に使おうとすると有料プランへの移行が必須になります。2025年10月以降、ペライチのフリープランでは公開できるページ数が0枚になることが公式に発表されています(出典 ペライチ サービス内容改定のお知らせ)。つまり、無料のまま使い続けることすらできなくなるのです。
有料プランの費用はWordPressの運用費と同等以上になる
ペライチの有料プランは、独自ドメインや広告非表示、ページ数の拡張などを含めると月額数千円〜1万円以上の費用がかかります。一方、WordPressでサイトを運用する場合、レンタルサーバーが月額1,000円前後、独自ドメインが年間1,000〜2,000円程度で済みます。ペライチの有料プランに月額数千円を支払うのであれば、WordPressでサイトを構築したほうが、拡張性・自由度ともに圧倒的に上です。
ペライチに投資した時間と費用は移行時に引き継げない
ペライチで作成したページのデザインやコンテンツは、他のプラットフォームにそのまま移行できません。WordPressや他のCMS(コンテンツ管理システム)に移行する場合、ページの作り直しが必要になります。つまり、ペライチに費やした時間と費用は「使い捨て」になるリスクがあります。早い段階でWordPressなどのCMSに移行しておけば、その後のコンテンツ蓄積がすべて資産として残ります。移行を先延ばしにするほど、無駄になるコストが膨らんでいくのです。(「いつか移行しよう」と思いながら3年経った、という事業者を何人も見てきました)
1ページサイトで事業の全体像を伝えるのは不可能に近い
事業を始めた直後であれば、サービス内容も限られているため1ページで事足りるかもしれません。しかし、事業が成長し、サービスメニューが増え、実績が蓄積されてくると、1ページにすべてを収めること自体が無理になります。
情報を詰め込みすぎたページは読まれない
「サービス紹介」「料金」「お客様の声」「会社概要」「アクセス」「問い合わせフォーム」を1ページに詰め込むと、ページが極端に長くなります。スマートフォンで閲覧した場合、延々とスクロールしなければ目的の情報にたどり着けません。ユーザーは自分が探している情報にすぐアクセスできないと離脱します。実際、弊社がサイトの分析を行うと、1ページに情報を詰め込んだサイトほどページ滞在時間が短く、問い合わせ率が低い傾向があります。
サービスごとの詳細な説明ができない
複数のサービスを展開している事業者が1ページで全サービスを紹介しようとすると、それぞれの説明が薄くなります。たとえば、リフォーム業者が「キッチンリフォーム」「浴室リフォーム」「外壁塗装」の3つのサービスを提供している場合、各サービスに対してお客様が知りたい「費用の目安」「施工期間」「施工事例」「よくある質問」を十分に掲載するには、サービスごとに独立したページが必要です。1ページにまとめると、どのサービスも中途半端な説明で終わってしまい、見込み客を取りこぼします。検索エンジンの観点でも、「キッチンリフォーム 費用」と検索したユーザーに対して、キッチンリフォーム専用のページがあるサイトと、全サービスを1ページにまとめたサイトでは、前者のほうが圧倒的に評価されやすいのです。
お客様の声や実績を蓄積する場所がない
事業を続けていれば、お客様の声や施工事例、導入実績といった「信頼の証」が蓄積されていきます。こうした情報は見込み客の意思決定を後押しする最も強力なコンテンツですが、1ページ構成のサイトでは掲載スペースに限界があります。せっかくの実績を5〜6件しか載せられず、残りは埋もれてしまうのは大きな機会損失です。WordPress等のCMSであれば、実績を1件ずつ個別ページとして追加でき、検索エンジンからの流入も期待できます。
ペライチからの移行を検討すべきタイミング
ペライチから本格的なサイトへの移行を検討すべきタイミングは、以下のいずれかに該当した時点です。「もう少し様子を見よう」と先延ばしにするほど、移行のコストと手間が増えていきます。
| タイミング | 具体的な状況 |
|---|---|
| サービスメニューが3つ以上に増えた | 各サービスの詳細を1ページに収められなくなった |
| 検索からの集客を本気で考え始めた | 「地域名+業種」で検索しても自社サイトが出てこない |
| ブログやコラムで情報発信したくなった | SNSだけでは蓄積されず、Webコンテンツとして残したい |
| お客様の声や実績が10件以上ある | すべて掲載したいが1ページでは収まらない |
| 法人化した・取引先が増えた | 名刺やメールの署名にサブドメインのURLを載せるのが気になる |
| ペライチの有料プランに月額数千円以上支払っている | 同じ費用でWordPressサイトを運用できることに気づいた |
移行先はWordPressが最も現実的な選択肢
ペライチからの移行先としては、WordPressが最も現実的です。世界のWebサイトの約43%がWordPressで構築されているとされ、テーマやプラグインが豊富に揃っています(出典 WordPress.org About)。ペライチのようなクローズドなサービスと異なり、WordPress自体はオープンソースのため、どのサーバーでも動作し、制作会社や保守会社を自由に変更できます。「特定のサービスに依存しない」という点が、事業者にとっての最大のメリットです。
移行にかかる費用の目安
ペライチから5〜10ページ規模のWordPressサイトへの移行は、制作会社に依頼した場合で15万〜40万円程度が相場です。テンプレートを活用した簡易的な構築であれば10万円以下で対応できるケースもあります。月額の運用コストは、レンタルサーバー代が月額1,000円前後、ドメイン代が年間1,000〜2,000円、保守費用を外注する場合は月額1万円〜が目安です。ペライチの有料プランに月額数千円を支払い続けるよりも、1年〜2年のスパンで見れば総コストは同等かそれ以下になるケースがほとんどです。
ペライチを使い続けても問題ないケース
すべての事業者がペライチから移行すべきというわけではありません。以下に該当する場合は、ペライチのまま運用を続けても問題ありません。
- 名刺代わりのWebページがあれば十分で、検索からの集客を期待していない
- 事業規模を拡大する予定がなく、サービスメニューも固定されている
- 集客はSNSや口コミが中心で、ホームページは補助的な位置づけ
- 期間限定のキャンペーンやイベント告知ページとして使っている
ペライチの本来の強みは、「すぐに作れて、すぐに公開できる」ことです。期間限定のランディングページやイベント告知ページとしてはむしろ最適なツールです。広告のランディングページとしてペライチを使い、メインサイトはWordPressで運用するという併用パターンも有効です。問題は、本来は一時的・補助的な用途で使うべきサービスを、事業の「メインサイト」としていつまでも使い続けてしまうことにあります。ペライチ自体が悪いのではなく、使い方と目的が合っていないことが問題なのです。
「無料だから」という理由でペライチを選んだ事業者が陥る悪循環
ペライチを使い続ける事業者に多いのが、「無料だから」「簡単だから」という理由で現状維持を選んでしまうパターンです。しかし、この判断は長期的に見ると大きなコストを生みます。
検索で見つからないサイトは存在しないのと同じ
総務省の通信利用動向調査によると、ホームページを開設している企業のうち約半数が「効果を実感できていない」と回答しています(出典 総務省 令和3年通信利用動向調査)。この「効果を実感できない」原因の多くは、そもそもサイトが検索結果に表示されず、誰にも見られていないことにあります。1ページだけのペライチサイトで検索上位を獲得するのは極めて困難であり、「ホームページがあるのに問い合わせが来ない」という状態に陥りやすいのです。
サイトに投資しないと、ずっとSNSと紹介頼みになる
ホームページからの集客が機能しない事業者は、SNSの更新や既存顧客からの紹介に依存し続けることになります。SNSは即時性がある一方で、過去の投稿が蓄積されにくく、プラットフォームのアルゴリズム変更に左右されるリスクがあります。ホームページにコンテンツを蓄積していく「ストック型」の集客と、SNSの「フロー型」の発信を組み合わせるのが理想です。1ページのペライチサイトでは、このストック型の集客がまったく機能しません。
先延ばしにするほど移行のハードルが上がる
「いつかちゃんとしたサイトを作ろう」と思いながら、気づけば3年、5年とペライチのまま。この間にSNSで発信した情報や、お客様からいただいた声は、サイトに蓄積されることなく流れていきます。移行を先延ばしにするということは、本来Webサイトに蓄積されるべき資産を捨て続けているということです。1年後に移行するよりも今日移行したほうが、1年分のコンテンツ蓄積が早く始まります。
ペライチから移行する際の3つの注意点
ペライチからWordPress等への移行を決めたら、以下の3点に注意してください。移行自体は難しい作業ではありませんが、事前の準備を怠ると無駄な手戻りが発生します。
ペライチのURLからのリダイレクト設定は基本的にできない
ペライチで運用していたURLから新しいサイトへの301リダイレクト(転送設定)は、ペライチ側の仕様上、設定できないケースがほとんどです。つまり、これまでペライチのURLで蓄積してきた検索エンジンからの評価を新サイトに引き継ぐことが困難です。この点からも、ペライチでの運用期間が長くなるほど「捨てるもの」が増えることがわかります。できるだけ早い段階で独自ドメインのサイトに移行し、そこに評価を蓄積していくべきです。
独自ドメインは必ず自分名義で取得する
移行先のサイトで使う独自ドメインは、必ず自社名義で取得してください。制作会社やサーバー会社の名義で取得すると、その会社との契約が終了した際にドメインを引き渡してもらえないトラブルが発生する可能性があります。実際に弊社に相談に来る案件の中にも「前の制作会社がドメインを渡してくれない」というケースが定期的にあります。ドメインは事業者にとっての「Web上の住所」であり、名義は必ず自社で管理すべきです。ドメインの取得自体は年間1,000〜2,000円程度の費用で、手続きも難しくありません。
サイトの目的と必要なページを整理してから移行する
「とりあえずWordPressにすれば良くなる」というわけではありません。移行前に、サイトの目的(問い合わせ獲得、採用、ブランディングなど)と、最低限必要なページ構成を整理してください。最初から完璧なサイトを目指す必要はなく、5〜10ページ程度の基本構成でスタートし、運用しながら徐々にコンテンツを追加していくのが現実的な進め方です。
| ページ | 内容 | 優先度 |
|---|---|---|
| トップページ | 事業の概要と各ページへの導線 | 必須 |
| サービス紹介 | サービスごとの詳細な説明 | 必須 |
| 料金表 | 料金体系を明示 | 必須 |
| 会社概要・代表挨拶 | 信頼性を担保する情報 | 必須 |
| お問い合わせ | フォームや連絡先 | 必須 |
| お客様の声・実績 | 社会的証明 | 推奨 |
| ブログ・コラム | 情報発信と検索流入の獲得 | 推奨 |
| よくある質問 | 問い合わせ前の疑問解消 | 推奨 |
最後に
ペライチは「最初の一歩」としては優れたサービスです。しかし、事業が成長し、検索からの集客やコンテンツの蓄積が必要になった段階で、1ページ構成のサイトには明確な限界があります。SEOの観点では複数ページによる情報の構造化が不可欠であり、費用面でもペライチの有料プランとWordPressの運用費は大差ありません。「無料だから」「簡単だから」という理由で現状維持を続けると、本来得られるはずの検索流入や見込み客との接点を失い続けることになります。移行のタイミングは「もう少し先」ではなく「今」です。
Web管理では、ペライチからWordPressへの移行サポートや、移行後のサイト保守・運用代行を月額1万円から承っています。「今のペライチサイトをどうすべきか相談したい」「WordPressに移行したいが何から始めればいいかわからない」というご相談も歓迎です。サイトの移行や運用のことはプロに任せて、本業に集中できる環境を一緒に作りましょう。



