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2026.04.11

ITに詳しくない社長がWeb担当者と対等に話すための最低限の知識

「ホームページのことは全部お任せしているから」と丸投げしている社長は多いです。しかし、丸投げと放置は違います。Web担当者や制作会社に対して、最低限の質問ができるかどうかで、ホームページにかかる費用やトラブル対応のスピードは大きく変わります。この記事では、ITに詳しくない社長が、Web担当者と対等に会話するために知っておくべき用語と判断基準を、実務の現場視点で解説します。技術を覚える必要はありません。「何を聞けばいいか」「何を確認すればいいか」さえわかれば、それだけで十分です。

社長がWeb知識を持つべき理由は「騙されないため」

誤解のないように言えば、社長がHTMLを書けるようになる必要はありません。プログラミングを学ぶ必要もありません。ただし、Web担当者や制作会社が言っていることが妥当かどうかを判断できる程度の知識は必要です。

弊社に寄せられる相談の中で、「制作会社から説明を受けたが、正しいのかどうかわからなかった」という経営者は非常に多いです。たとえば「サーバー移管はできません」と言われてそのまま信じてしまう。「SSL対応には追加で10万円かかります」と言われて払ってしまう。「WordPressのアップデートは危険なのでやりません」と言われて放置してしまう。これらはすべて、知識がないことにつけ込まれた結果です。(技術的にはどれも事実と異なります)

総務省が公表した「令和5年通信利用動向調査」によると、日本の企業のうちホームページを開設している割合は90.8%に達しています(出典 総務省 通信利用動向調査)。ほぼすべての企業がホームページを持っている時代に、その管理状態を経営者が把握していないのは、経営上のリスクと言わざるを得ません。

知識がなければ、相手の説明を鵜呑みにするしかありません(判断の分け方はホームページの更新は自分でやる箇所とプロに任せる箇所を分けるのが正解も参考になります)。逆に、最低限の知識があれば「それは本当ですか」と聞くことができる。その一言が、不要な出費やトラブルを防ぎます。

サーバーとドメインは「土地」と「住所」で理解すれば十分

Web担当者との会話で最初につまずくのが「サーバー」と「ドメイン」という用語です。これは以下のようにイメージしてください。

IT用語 現実世界での例え 具体例
サーバー 土地(ホームページのデータを置く場所) エックスサーバー、さくらインターネット、ロリポップなど
ドメイン 住所(URLのこと) example.co.jp、example.com
SSL証明書 鍵付きの郵便受け(通信の暗号化) URLが「https://」で始まるかどうか
WordPress 建物の骨組み(ホームページを動かすシステム) 世界のWebサイトの約43%が使用
DNS 電話帳(ドメインとサーバーを紐づける仕組み) 設定を間違えるとサイトが表示されなくなる

ここで社長が確認すべきは3つだけです。「サーバーはどこを使っているか」「ドメインは誰の名義か」「それぞれの契約情報(ID・パスワード)は自社で把握しているか」。この3つの答えが即座に出てこない場合は、危険な状態です。サーバーの契約者が制作会社名義になっていたり、ドメインの所有者が制作会社になっていたりすると、制作会社を変更したいときに身動きが取れなくなります。(実際にそのトラブルで弊社に駆け込んでくるケースが後を絶ちません)

保守費用の相場感を知っておくだけで不当な請求を見抜ける

ホームページの保守費用は、社長が最も騙されやすい領域の一つです。「月額5万円の保守契約」と聞くと高いのか安いのか判断できない方がほとんどです。相場を知っておくだけで、その判断ができるようになります。

保守内容 相場 含まれるべきサービス
最低限の保守(サーバー・ドメイン管理のみ) 月額3,000〜5,000円 更新手続き代行、DNS管理
標準的な保守 月額1〜3万円 WordPress更新、バックアップ、セキュリティ監視、軽微な修正
手厚い保守+運用支援 月額5〜10万円 上記に加え、コンテンツ更新、アクセス解析、改善提案

ここで重要なのは、金額ではなく「何をしてくれるのか」を確認することです。月額5万円の保守契約の中身が「プラグインの自動更新だけ」だった、という事例は珍しくありません(HP管理は社内vs外注のどちらが自社に合うかの比較もご確認ください)。(正直、それは保守とは呼べません)

Web担当者に聞くべき質問はシンプルです。「毎月何をやっているのか、作業内容を一覧で出してほしい」。これだけで十分です。まともな保守会社であれば、月次レポートや作業報告を出すのは当然のことです。作業内容を聞いて「それは出せません」と言われたら、何もしていない可能性を疑ってください。

「SSL」「バックアップ」「アップデート」の3つは最低限押さえる

技術的な用語をすべて覚える必要はありませんが、この3つだけは理解しておいてください。なぜなら、この3つが放置されると、サイトの信頼性・安全性・存続に直結するからです。

SSL(通信の暗号化)が未対応ならすぐに対応すべき

SSL(Secure Sockets Layer)とは、ホームページとユーザーの間の通信を暗号化する仕組みです。SSL対応済みのサイトはURLが「https://」で始まり、ブラウザのアドレスバーに鍵マークが表示されます。未対応のサイトは「http://」のままで、Chromeでは「保護されていない通信」と警告が表示されます。

Google は2014年にHTTPS(SSL対応)を検索順位のシグナルとして使用することを公式に発表しています(出典 Google Search Central Blog HTTPS as a ranking signal)。SSL未対応のまま放置すると、検索順位に悪影響が出るだけでなく、訪問者に「このサイトは安全ではない」という印象を与えます。

SSL証明書の導入コストは、現在ではほぼゼロです。Let’s Encrypt(無料のSSL証明書)を使えば費用はかかりません。多くのレンタルサーバーが無料SSLに対応しています。もし制作会社から「SSL導入に10万円かかる」と言われたら、その内訳を確認してください。証明書自体は無料なので、作業費として妥当な金額かどうかを判断する必要があります。(作業自体は30分〜1時間で終わるものです)

バックアップがなければサイト消失時に復旧できない

バックアップとは、ホームページのデータのコピーを定期的に保存しておくことです。サーバーの障害、ハッキング、操作ミスなど、サイトのデータが消失するリスクは常に存在します。バックアップがあれば復旧できますが、なければ最悪の場合、ゼロから作り直しになります。

Web担当者に確認すべきは以下の3点です。

  • バックアップは取っているか(自動か手動か)
  • バックアップの頻度はどれくらいか(毎日、週1回、月1回)
  • バックアップデータはどこに保存しているか(サーバーと同じ場所では意味がない)

「バックアップはサーバー会社がやってくれている」と思い込んでいる経営者も多いですが、レンタルサーバーの標準バックアップは復旧を保証するものではありません。自社で、あるいは保守会社にバックアップ体制を確認しておくことが不可欠です。弊社が引き継いだサイトの約6割が、バックアップ未設定の状態でした。

WordPressのアップデートを放置するのは玄関の鍵を開けっ放しにするのと同じ

WordPressは定期的にアップデート(更新)が提供されます。このアップデートには、新機能の追加だけでなく、セキュリティの脆弱性(弱点)を修正するパッチが含まれています。アップデートを放置するということは、既知の脆弱性を放置するということです。

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)は、ソフトウェアの脆弱性対策について、アップデートの迅速な適用を推奨しています(出典 IPA 脆弱性対策情報)。WordPressは世界中で使われているCMS(コンテンツ管理システム)であるがゆえに、攻撃者のターゲットになりやすいという側面があります(WordPressログインの基礎も参考にしてください)。

「アップデートするとサイトが壊れるかもしれないから怖い」という意見はよく聞きます。確かに、テーマやプラグインとの互換性の問題でトラブルが発生することはあります。しかし、だからといって放置するのは本末転倒です。正しい手順は「バックアップを取ってからアップデートする」であり、「アップデートしない」ではありません。

制作会社・Web担当者に聞くべき5つの質問

技術を深く理解する必要はありません。以下の5つの質問をWeb担当者や制作会社にぶつけるだけで、自社のホームページの管理状態が見えてきます。

質問 期待すべき回答 危険な回答
サーバーとドメインの契約情報はどこにあるか ID・パスワードを含めて自社に共有されている 「こちらで管理しているので大丈夫です」(情報共有なし)
ドメインの所有者は誰の名義か 自社名義で登録されている 「弊社名義で一括管理しています」
バックアップはいつ、どこに取っているか 頻度・保存先・復旧手順が明確に説明される 「多分取っていると思います」「サーバー任せです」
WordPressやプラグインの更新はどうしているか 定期的に更新し、動作確認も行っている 「更新すると壊れるのでやっていません」
毎月の保守作業で具体的に何をしているか 作業内容の一覧やレポートが提示される 「特に問題がなければ何もしません」

この5つの質問に対して明確な回答が返ってこない場合は、保守の品質を疑うべきです。まともな保守会社であれば、これらの質問に即答できます。逆に、曖昧な回答や情報共有を拒む姿勢が見られたら、その時点で制作会社の見直しを検討してください。

「技術的なことはわからないので」と遠慮する必要はありません。これらは技術の質問ではなく、契約内容と作業実態の確認です。お金を払っている以上、サービスの中身を確認するのは当然の権利です。

「表示速度」と「スマホ対応」は売上に直結する指標

ホームページの表示速度とスマホ対応は、技術的な話に見えて、実は売上に直結する経営課題です。

表示速度が遅いサイトは訪問者が離脱する

Googleの調査によると、ページの読み込み時間が1秒から3秒に増加すると、直帰率(サイトを見ずに離脱する割合)は32%増加します(出典 Think with Google Find Out How You Stack Up to New Industry Benchmarks for Mobile Page Speed)。つまり、表示が遅いだけで見込み客を逃しているということです。

表示速度を確認する方法は簡単です。Googleが提供する無料ツール「PageSpeed Insights」にURLを入力するだけで、自社サイトの表示速度が点数で表示されます。100点満点中50点以下であれば改善の余地があると考えてください。

表示速度の改善で最も効果が大きいのは画像の最適化です。サイトに掲載している写真のファイルサイズが大きすぎると、それだけで表示速度が大幅に低下します。スマートフォンで撮影した写真をそのままアップロードしているサイトは要注意です。1枚あたり数MBの画像が複数あれば、表示に5秒以上かかることも珍しくありません。

スマホ対応していないサイトはGoogleの検索順位が下がる

Googleはモバイルファーストインデックス(MFI)を採用しており、スマートフォン版のサイトを基準に検索順位を評価しています。つまり、スマホで見づらいサイトは検索順位が不利になります。

自社サイトがスマホ対応しているかどうかは、スマートフォンで自社のURLにアクセスすれば確認できます。文字が小さすぎる、横スクロールが必要、ボタンが押しにくい、といった状態であれば未対応です。現在の中小企業サイトへのアクセスは、スマートフォンからが6〜7割を占めるのが一般的です。つまり、スマホで見づらいサイトは、大多数の訪問者に悪い印象を与えていることになります。

見積書・提案書で見るべきポイントは「内訳」と「範囲」

制作会社やWeb担当者から見積書や提案書を受け取ったとき、合計金額だけ見て判断してしまう社長は多いです。しかし、見るべきは合計金額ではなく「内訳」と「対応範囲」です。

見積書で確認すべき項目

  • 作業項目ごとの単価と工数が明記されているか(「一式」だけの見積もりは要注意)
  • サーバー・ドメインの費用が含まれているか、別途なのか
  • 修正対応の回数や範囲に制限があるか
  • 契約期間と解約条件が明記されているか
  • 納品後のサポート期間・内容が記載されているか

特に危険なのは「ホームページ制作一式 50万円」のように、すべてが一行にまとめられた見積もりです。これでは何にいくらかかっているのかが不透明で、後から「それは追加費用です」と言われるリスクがあります。デザイン費、コーディング費、サーバー設定費、コンテンツ作成費など、項目ごとに分かれた見積もりを依頼してください。

「追加費用」が発生しやすいポイントを事前に押さえる

ホームページの制作・保守において、追加費用が発生しやすいポイントは決まっています。事前に把握しておけば、予算オーバーを防げます。

追加費用が発生しやすい項目 相場 事前に確認すべきこと
ページ追加 1ページあたり1〜5万円 初期制作のページ数に何ページ含まれているか
写真撮影・画像加工 1点あたり3,000〜1万円 画像の用意は自社かどうか
SSL導入 無料〜5万円 無料SSLで対応可能かどうか
スマホ対応(レスポンシブ) 5〜20万円 制作費にスマホ対応が含まれているか
問い合わせフォーム設置 1〜5万円 フォームの項目数や機能の範囲

見積もりの段階で「これ以外に追加費用が発生する可能性はあるか」と聞いておくだけでも、後のトラブルを大幅に減らせます。この質問に対して「状況によります」としか答えない会社は、追加費用を前提としたビジネスモデルの可能性があります。

「アクセス解析」は数字を読む必要はなく傾向だけ見ればよい

アクセス解析(GA4など)のデータを見せられても、数字の羅列で何を見ればいいかわからない、という社長は多いです(GA4の設定だけして一度も見ていない人へもあわせてご覧ください)。安心してください。社長が見るべき数字は3つだけです。

指標 意味 見るべきポイント
ユーザー数 サイトに来た人の数 先月より増えているか減っているか
流入経路 どこからサイトに来たか 検索から来ているか、SNSから来ているか
問い合わせ数(コンバージョン) サイト経由で問い合わせや申し込みがあったか 問い合わせが発生しているかどうか

細かい分析はWeb担当者に任せれば問題ありません(毎月のアクセスレポートを数字の羅列で終わらせない読み解き方も合わせて読むと、報告の見方が身につきます)。社長が把握すべきは「傾向」です。ユーザー数が減少傾向にあるなら原因を聞く。問い合わせがゼロなら改善策を求める。この程度の確認で十分です。

逆に、アクセス解析のデータをまったく共有してくれない、あるいは「特に見る必要はありません」と言うWeb担当者がいたら注意してください。アクセスデータはサイトの成績表です。成績表を見せない学校を信用できるでしょうか。少なくとも月に1回、主要な数字の増減だけでも報告を受ける仕組みを作ってください。

Web担当者との「丸投げ」と「任せる」は決定的に違う

「Webのことはよくわからないからお任せします」。この言葉自体は問題ありません。むしろ、専門領域は専門家に任せるのが正しい経営判断です。しかし、「任せる」と「丸投げ」は違います。

「任せる」とは、方針と目標を示した上で実行を委ねることです。「丸投げ」とは、方針も目標も示さず、成果の確認もしないことです。前者は経営者の判断ですが、後者は経営者の放棄です。

Web担当者に対して、社長が最低限やるべきことは以下の3つです。

  • ホームページの目的を明確にする(問い合わせの獲得、採用、ブランディングなど)
  • 月に1回、成果の報告を受ける(アクセス数の増減、問い合わせの有無)
  • 年に1回、契約内容とコストを見直す(保守費用は妥当か、サービス内容は適切か)

これだけで十分です。技術的な判断は専門家に任せ、経営的な判断は社長が行う。この役割分担ができていれば、Web運用は円滑に回ります。問題が起きるのは、経営的な判断まで丸投げしてしまう場合です。「何を目指すのか」を決めるのは社長の仕事であり、「どうやって実現するか」を考えるのがWeb担当者の仕事です。

最低限覚えておくべきIT用語は10個で足りる

Web担当者との会話で頻出するIT用語は限られています。以下の10個を押さえておけば、打ち合わせで困ることはほぼありません。

用語 一言での説明 社長が知るべき理由
サーバー サイトのデータを置く場所 契約者名義が自社かどうかの確認
ドメイン サイトのURL(住所) 所有者名義が自社かどうかの確認
SSL 通信を暗号化する仕組み 未対応だと信頼を失う
WordPress サイトを動かすシステム 更新しないとセキュリティリスクになる
プラグイン WordPressの追加機能 多すぎると不具合の原因になる
バックアップ サイトのデータの控え ないと復旧できない
SEO 検索順位を上げるための対策 「SEO対策します」の中身を確認するため
GA4(アクセス解析) サイトの訪問者データを見るツール 成果を数値で確認するため
CMS サイトを管理するシステムの総称 WordPressもCMSの一種
レスポンシブ スマホ対応のデザイン 未対応だと検索順位が不利になる

この10個の意味がわかっていれば、Web担当者から説明を受けたときに「何の話をしているか」が理解できます。深い技術知識は不要です。会議で飛び交う用語の意味が「さっぱりわからない」という状態から、「大体何を言っているかはわかる」という状態になるだけで、Web担当者との関係性は大きく変わります。

最後に

ITに詳しくない社長がWeb担当者と対等に話すために必要なのは、プログラミングの知識でも、最新のSEOテクニックでもありません。「サーバーとドメインは誰の名義か」「バックアップは取っているか」「毎月何をやっているか」。この程度の質問ができれば、不当な請求や手抜き保守を見抜けます。技術を学ぶのではなく、正しい質問をする力を身につけてください。それだけで、ホームページの管理レベルは格段に上がります。

Web管理では、月額1万円からホームページの保守・運用を代行しています。「今の制作会社が何をしてくれているかわからない」「保守費用が妥当かどうか判断できない」といったご相談も歓迎です。Webのことは丸投げして本業に集中できる環境を、一緒に作りましょう。まずはお気軽にお問い合わせください。

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