ホームページの管理を社内で対応するか、外注に出すか。この判断を先送りにしている中小企業は非常に多いです。「とりあえず事務の○○さんに任せている」「社長が自分でやっている」という状態のまま何年も経過し、気づけばサイトが放置状態。結果として、検索順位は下がり、問い合わせも減り、セキュリティリスクだけが膨らんでいく。この記事では、社内運用と外注のメリット・デメリットを費用対効果の観点から比較し、自社に最適な判断基準を具体的に提示します。
社内運用の実態は「誰かが片手間でやっている」状態がほとんど
中小企業でホームページを社内管理していると言っても、専任のWeb担当者を置いている会社はごく少数です。実態としては、総務や営業事務の社員が「ついでに」ホームページの更新を担当しているケースが大半です。
中小企業庁の「中小企業白書2024年版」によると、中小企業のうちIT人材が「量的に不足している」と回答した企業は約8割に達しています(出典 中小企業庁 中小企業白書2024年版)。つまり、ホームページ管理を任せられる人材がそもそも社内にいないのが現実です。(「社内でやる」と言いながら、実質的に誰もやっていないのが本当のところです)
事務スタッフに任せると「更新するだけ」で精一杯になる
WordPressの管理画面にログインして、お知らせを投稿する。写真を差し替える。営業時間の変更を反映する。こうした「更新作業」であれば、ITに詳しくないスタッフでもマニュアルがあれば対応できます。しかし、ホームページの管理はそれだけではありません。
WordPress本体やプラグインのアップデート、セキュリティ対策、バックアップの管理、表示速度の改善、SSL証明書の更新、サーバーの監視。これらの保守業務は専門知識がなければ対応できません。事務スタッフに「ホームページの管理を頼む」と言った時点で、大半の保守業務は放置されることになります。
「社長が自分でやる」は最もコストが高い選択肢
社員に任せられないからと、社長自身がホームページを更新している会社もあります。経営者の時間単価を考えれば、これは最も非効率な選択です。年商5,000万円の会社の社長が年間2,000時間働いているとすると、時給換算で約25,000円です。ホームページの更新作業に月5時間を費やしていれば、月12万5,000円分の経営者リソースをWeb作業に消費している計算になります。
社長の仕事は営業、経営判断、採用、取引先との関係構築です。HTMLの書き方を調べたり、画像のリサイズ方法を検索したりする時間は、本来の業務に充てるべきです。(月1万円で外注できる作業に、月12万円以上の人件費をかけている。この事実に気づいていない経営者は多いです)
社内運用のメリットは「即時対応」と「ノウハウ蓄積」の2点に限られる
社内でホームページを管理する利点がゼロかというと、そうではありません。ただし、メリットと言えるのは限定的です。
急ぎの更新にすぐ対応できるのは社内運用の強み
臨時休業のお知らせ、急なキャンペーンの告知、メディア掲載情報の追加。こうした「今すぐ反映したい」という更新依頼は、社内に対応できる人がいれば即時反映が可能です。外注の場合、依頼してから反映まで数時間〜1営業日かかることが一般的です。
ただし、この「即時対応」が本当に必要な場面は、実際にはそれほど多くありません。弊社が運用保守を担当しているクライアントの更新依頼のうち、「当日中に対応が必要」だったケースは全体の約15%程度です。残りの85%は翌営業日対応で問題ありませんでした。
社内にWebの知見が蓄積されるのは長期的なメリット
社内でホームページ管理を続けていれば、担当者にWordPressの操作スキルやWebマーケティングの基礎知識が蓄積されます。将来的にWeb施策を内製化したい企業にとっては、この知見の蓄積が資産になります。
ただし、これが成り立つのは担当者が退職しない前提の話です。中小企業の事務スタッフの離職率を考えると、せっかく育てた担当者が辞めてしまい、引き継ぎもないまま次の担当者がゼロから学び直す、という事態は珍しくありません。(属人化したWebノウハウは、担当者が辞めた瞬間にゼロになります)
社内運用のデメリットは人件費だけではなく機会損失コストが大きい
社内運用のコストを計算するとき、多くの経営者は「担当者の人件費」だけを見ています。しかし、本当のコストはそれだけではありません。
Web作業に費やす時間は本業から奪われた時間
総務の社員がホームページの更新に月10時間を費やしているとします。その社員の月給が25万円(社会保険料込みで約32万円)、月の労働時間が160時間の場合、時給は2,000円です。月10時間のWeb作業は人件費換算で2万円。「外注するより安い」と思うかもしれません。
しかし、その10時間で本来やるべき業務(請求書処理、来客対応、電話応対、資料作成)が後回しになっている影響を考えたことがあるでしょうか。残業が発生すれば残業代がかかります。本業の処理が遅れれば取引先に迷惑がかかります。Web作業の人件費だけを見て「安い」と判断するのは、機会損失コストを見落としています。
専門知識がないまま運用するとセキュリティ事故のリスクが高まる
IPAが公開している「情報セキュリティ10大脅威 2024」では、Webサイトの改ざんやランサムウェアによる被害が引き続き上位にランクインしています(出典 IPA 情報セキュリティ10大脅威 2024)。WordPressのプラグインを更新せずに放置する、管理画面のパスワードが初期設定のまま、バックアップを一切取っていない。こうした状態のサイトが攻撃を受ければ、復旧費用は数十万円規模になります。
弊社に「サイトが改ざんされた」と相談に来る企業の約7割が、社内運用でセキュリティ対策を一切していなかったケースです。復旧費用の平均は20〜50万円。月1万円の保守費用をケチった結果、年間の保守費用の数年分を一度に失うことになります。
SEOや改善提案まで期待するのは現実的ではない
ホームページの管理を社内で行う場合、更新作業で手一杯になり、アクセス解析に基づいた改善やSEO対策まで手が回ることはほぼありません。GA4(Googleアナリティクス4)の使い方を覚え、Search Consoleのデータを読み解き、改善策を立案して実行する。これは片手間でできる仕事ではありません。
結果として、ホームページは「存在しているだけ」の状態になります。検索流入は増えず、問い合わせも来ない。「うちのホームページは役に立っていない」と感じるのは当然です。役に立たせるための運用をしていないのですから。
外注のメリットは「専門性」「コスト効率」「継続性」の3つ
ホームページ管理を外注する最大のメリットは、専門家のスキルを低コストで利用できる点です。
プロの保守体制を月1〜3万円で手に入れられる
Web制作会社やホームページ運用保守の専門業者に外注すれば、WordPress保守、セキュリティ対策、バックアップ管理、サーバー監視、SSL更新といった専門業務を月額1〜3万円で任せられます。同等のスキルを持つ人材を正社員として雇用すれば、月給30〜50万円(社会保険料込みで40〜65万円)は必要です。
| 項目 | 社内運用(正社員雇用) | 外注(運用保守サービス) |
|---|---|---|
| 月額コスト | 40〜65万円(社保込み) | 1〜5万円 |
| 対応範囲 | 担当者のスキルに依存 | 契約内容に準拠(専門領域をカバー) |
| セキュリティ対策 | 担当者次第(対応できない場合も多い) | 標準で含まれるケースが多い |
| 退職リスク | 高い(引き継ぎ困難) | 低い(組織として対応) |
| 改善提案 | 期待しにくい | 上位プランで対応可能 |
この比較を見れば、コスト面で社内運用が外注に勝てる場面はほぼないことがわかります。唯一、社内にWeb専門のスキルを持つ人材がすでにいる場合だけが例外です。
担当者の退職で管理が止まるリスクがない
社内運用で最も怖いのは、担当者の退職です。WordPressの管理画面のログイン情報、サーバーのFTP情報、ドメインの管理アカウント。これらを担当者しか知らないという状態は、中小企業で驚くほど多く発生しています。
外注先であれば、担当者が変わっても組織としてサービスが継続されます。管理情報も契約先が一元管理しているため、「情報がわからなくなった」という事態を防げます。(弊社に相談に来る企業の約2割が、「前の担当者が辞めてサーバーの情報がわからない」という状態でした)
本業に集中できる時間を買っている
外注の本質的な価値は、技術力を買っているだけではありません。社員が本業に集中できる時間を買っているのです。月10時間のWeb作業がなくなれば、その時間を営業活動や顧客対応に充てられます。
営業担当者が月10時間をWeb更新に費やしている場合、その時間で商談1〜2件を追加できるとすれば、売上への貢献は月数万〜数十万円にもなり得ます。外注費用の月1〜3万円は、社員の時間を本業に戻すための投資です。経費ではなく投資として捉えるべきです。
外注のデメリットは「依存リスク」と「コミュニケーションコスト」
外注にもデメリットはあります。これを理解したうえで外注先を選ばないと、別の問題を抱えることになります。
外注先に依存しすぎると乗り換え時に困る
サーバーやドメインの管理者名義が外注先になっている場合、契約を解除する際にスムーズに移管できないケースがあります。「解約するならサイトのデータは渡せない」と言われたり、移管手続きに高額な費用を請求されたりするトラブルは実際に起きています。
この問題を防ぐには、契約前に以下を確認しておくことが重要です。
- サーバーとドメインの契約名義が自社名義になっているか
- 管理画面のログイン情報を自社でも保有できるか
- 解約時のデータ引き渡しルールが明文化されているか
- 他社への移管に協力する旨が契約書に記載されているか
(「うちでしか管理できません」と言う業者は要注意です。技術的に他社で管理できないサイトなど、基本的に存在しません)
更新依頼のやり取りに手間がかかる場合がある
社内なら口頭で「ここを直して」と伝えれば済む更新も、外注先にはメールやチャットで依頼内容を正確に伝える必要があります。修正箇所のスクリーンショットを撮り、変更内容をテキストで指示し、確認用URLをチェックして承認する。この一連の流れが面倒に感じる人もいます。
ただし、この「手間」は外注先の対応体制によって大きく異なります。メールでしか連絡できない業者もあれば、チャットツールやLINEでスピーディーにやり取りできる業者もあります。外注先を選ぶ際は、コミュニケーション手段と対応速度を必ず確認してください。
社員数10人以下の企業は外注一択
ここまでメリット・デメリットを比較してきましたが、結論として明確な判断基準を提示します。
専任Web担当者を置けない企業は外注すべき
社員数10人以下の企業で、ホームページ管理の専任担当者を配置できるケースはほぼありません。全員が本業の業務を抱えている状態で、Web管理を「追加の業務」として任せるのは無理があります。
判断基準を明確にまとめると以下の通りです。
| 企業の状況 | 推奨する管理体制 | 理由 |
|---|---|---|
| 社員数10人以下、Web専任者なし | 全面外注 | 片手間運用は品質もセキュリティも維持できない |
| 社員数10〜30人、IT知見のある社員がいる | 更新は社内、保守は外注 | コンテンツ更新は内製化し、技術的な保守を外注するのが効率的 |
| 社員数30人以上、Web担当部署がある | 基本社内、専門領域のみ外注 | セキュリティ監査やサーバー移管など、高度な作業だけ外注 |
| EC・メディアなど、サイトが収益の中核 | 専任担当者+外部パートナー | 売上直結のため、社内と外部のダブル体制が必要 |
「月1万円の外注費」と「月10時間の社員の時間」のどちらが高いか
最終的な判断は費用対効果で行うべきです。社員にWeb管理を任せた場合の隠れたコストを時給換算で可視化します。
| コスト項目 | 社内運用の場合 | 外注の場合 |
|---|---|---|
| 直接人件費(月10時間想定) | 約2万円(時給2,000円×10時間) | 0円 |
| 外注費用 | 0円 | 月1〜3万円 |
| 教育・学習コスト | 月2〜5時間(4,000〜10,000円相当) | 0円 |
| セキュリティ事故リスク(年間期待値) | 年5〜15万円(発生確率×被害額) | 保守に含まれる |
| 機会損失(本業に充てられた時間) | 定量化困難だが確実に発生 | なし |
| 退職時の引き継ぎリスク | 高い | 低い |
| 月間トータルコスト(概算) | 3〜5万円+リスク | 1〜3万円 |
この表を見れば明らかですが、隠れたコストまで含めると社内運用は外注の1.5〜3倍のコストがかかっています。「外注は高い」という思い込みは、可視化されていないコストを無視した結果です。
外注先を選ぶときに確認すべき5つのポイント
外注を決めたとして、どの業者に頼むかで成果は大きく変わります。制作会社の「ついで保守」と、運用保守に特化した専門業者では、対応品質に天と地の差があります。
保守契約の中身が明確になっているか
「保守費用 月額3万円」とだけ書かれた契約書は危険です。具体的に何をしてくれるのか、どこまでが月額の範囲内で、追加費用が発生するのはどんな場合か。これらが明文化されていない契約は、トラブルの温床です。
- WordPress本体・プラグイン・テーマのアップデート対応が含まれているか
- バックアップの頻度と保存期間が明記されているか
- SSL証明書の更新管理が含まれているか
- 月何回まで更新対応が可能か、上限の有無が記載されているか
- 障害発生時の対応時間の目安が提示されているか
実績としてWordPressの運用保守経験があるか
新規のホームページ制作が得意な会社が、保守運用も得意とは限りません。制作と保守は別のスキルセットが必要です。サーバーの障害対応、WordPress本体のメジャーアップデートへの対処、マルウェア感染時の復旧作業。これらは実際に経験していないと適切に対応できません。
外注先を検討する際は、「これまでに何サイトの運用保守を担当しているか」「WordPressのトラブル対応の実績があるか」を直接確認してください。具体的な事例を話せない業者は避けたほうが無難です。
コミュニケーション手段と対応速度が自社に合っているか
メール、電話、チャットツール、LINE。外注先との連絡手段は業者によって異なります。メールしか対応していない業者だと、急ぎの依頼をしても返信まで半日以上かかることがあります。自社の業務スタイルに合ったコミュニケーション手段が使えるかどうかは、契約前に必ず確認してください。
あわせて、更新依頼から反映までの平均所要時間も聞いておくべきです。「通常3営業日以内」なのか「翌営業日対応」なのかで、運用のストレスが大きく変わります。
社内と外注のハイブリッド運用が最も現実的
すべてを外注に丸投げするか、すべてを社内で抱え込むか。実はこの二択ではなく、「役割分担」が最も効果的な運用体制です。
コンテンツ更新は社内、技術保守は外注が理想
ブログやお知らせの投稿、写真の追加、テキストの修正といったコンテンツ更新は、業界知識のある社内スタッフが担当するのが合理的です。自社のサービス内容や強みを最もよく理解しているのは、当然ながら社内の人間です。
一方、WordPressのアップデート、セキュリティ対策、サーバー管理、バックアップ運用といった技術的な保守業務は、専門知識を持つ外注先に任せるべきです。この役割分担により、コンテンツの質と技術的な安全性の両方を確保できます。
外注先を「社外のWeb担当者」として位置づける
外注先との関係は、単なる「作業の発注先」ではなく「社外のWeb担当者」として捉えることを推奨します。月次のアクセスレポートを共有してもらい、改善提案をもらい、サイト運用の方向性を相談する。こうした関係性を築ける外注先を選ぶことが、長期的にホームページを成果につなげるポイントです。
弊社の運用保守クライアントでも、月に一度のレポート共有と改善提案を通じて、問い合わせ数が半年で1.5倍に増えた事例があります。外注先が「作業者」ではなく「パートナー」になったとき、ホームページは単なるコストセンターから営業ツールに変わります。
最後に
ホームページの管理を社内でやるか外注するかは、コストの数字だけで判断できる問題ではありません。社員の時間、セキュリティリスク、退職時の引き継ぎ、機会損失。これらの「見えないコスト」まで含めて比較すれば、社員数10人以下の中小企業にとって外注が最も合理的な選択であることは明白です。社内で対応する場合でも、技術的な保守業務だけは専門家に任せるハイブリッド運用を推奨します。
Web管理では、月額1万円からホームページの保守・運用を代行しています。「社内で管理しているが限界を感じている」「前の担当者が辞めてサイトの管理がわからなくなった」というご相談も歓迎です。Webのことは丸投げして、本業に集中できる環境を一緒に作りましょう。まずはお気軽にお問い合わせください。















